実演鑑賞
満足度★★★★
韓国の告発劇だが、韓国の社会事情がよく理解できていないので、隔靴搔痒である。韓国がハイテンション社会とはよく聞かされ、映画で見ることはあるが実際に触れてないのだからよくわからない。問題は家庭内性暴力で、幼児に被害を受け今は被害者の保護のリーダーになっている女性(森尾舞)が、主人公だ。しかし彼女の生活も、家庭関係も一部見せられれるがよくわからない。それを探るひとや支持する人も出てくるがその立場もはっきりしない。国内ではこれで理解できるだろうが、この舞台では思わせぶりな上にテレビドラマの劇伴のような安い音楽がガンガン鳴るので、余計わからない。初日だったせいか、俳優座、文学座系、新国立養成所と手堅い俳優たちが揃っているのに、まだ探りあって、韓国で行くか、日本流にするか、戯曲の線で行くか、決めかねている。主演の森尾舞だけは、その中で毅然と決めていて圧倒的にうまい。彼女はもっと大きな400人規模の舞台が十分支えられる実力者である。かつて演じた俳優座のブレヒトの新鮮な演技などを思い出した。
こういう家庭内でしか描けない暴力や性の問題は既に英米にすぐれた作品が多数ある。そこへ割って入るのは、単に時事性だけでは容易ではない