虹の人〜アスアサ四ジ イヅ ジシンアル〜 公演情報 ラビット番長「虹の人〜アスアサ四ジ イヅ ジシンアル〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     ベシミル! 華5つ☆ 流石に大賞を何度も獲得してきた劇団。

    ネタバレBOX

     いい加減な脚本が矢鱈多くなっている昨今、流石に攻めるべきは攻め、気に留めるべき点は気に留めて分かり易く、而も東京帝国大学(坂下)と京都帝国大学(石野)との研究者のタイプ差も描き分けている。自分も両大学の研究者とも付き合いがあるので戦前の研究者もこうではないか? と類推する楽しみがあった。近代国家成立以前に大学が在ったヨーロッパやアメリカのように思想・信条・学問の自由・人間の尊厳をベースにした思考の価値を創造し護持してきたのは大学人であるとの認識が国家権力への大学人主張に繋がるという体制の根拠が日本には薄弱である。然し京都にはこれとある意味似たことがあるかも知れぬ。というのは権威という形で将軍を任命し国家権力を相対化してきたからであり、或は千年の都であった京(一時的に奈良)の地で育まれてきた底深い文化や学問の中心地という歴史からくる矜持と大きな政変が在る度に戦場の憂き目をみてきた民衆の反権力的指向が京大の学生にも京大の研究者にもどこかで影響しどちらかというと大らかで権力よりも人間的価値を重んじる傾向が強いのかも知れぬ。そこへゆくと東大は幾つかの学問塾のような(例えば昌平坂学問所等)が合体してヨーロッパの近代国家を真似て作りそのイデオロギーを広めようとして作った「最高学府」であったから自立心が弱く時代権力に阿易いのかも知れぬ。無論、第2次大戦中に軍に引っ張られ命を落としたり身体を毀損した者の比率は私大より帝大の方が圧倒的に多い。学生ばかりか、助教授クラス迄兵士として出征させられたケースもあった。このような学問の自治に纏わる大問題は現在も我々の足下に在る。学術会議任命問題が良い例だ。両教授の台詞及び各々の助手の台詞からもこれらの事情がとてもよく分かる。無論、研究者各々で個性もあるから、京大(京都帝大)の教授が総てより人間的であるとは限らないだろうが。
     さて、今作では伏線の張り方に際立った特色がある。通常伏線は脚本に書き込まれているが、今作では演技というか小道具に伏線が仕込まれている。即ち基本的には観た観客にのみ分かるように仕組まれているのである。これは演劇人として新しい態度なのではないか? 観客を信じなければこんな芸当はできない。演劇人として一期一会を舞台化したと言っても良い位だ。いつも通り、作・演を井保氏が担当している。と同時に役者としても演じている。三役をこなしながら体得した観客への信頼がベースにあるのだとしたら、これは素晴らしいことではないか? 他にも褒むべき点がある。出演者全員がラビ番のメンバーかV-netメンバーであるということだ。若手をキチンと育てて来た実践がここに稔っているのだ。実力というものは、このように目立たない地道な努力と継続、そして参加した人々が持ち続けるインセンティブによって成り立つ。その証が今作には見て取れる。女性陣の和服の着こなしも良い。
     椋平の虹が他の誰にも見えない謎に関しては、消去法で考えてゆけば簡単に答えは分かる。無論、早く答えが分かった所で今作の魅力が減じる訳ではない。至る所に掘り下げられたサブストリームが横たわっているしキチンと納得できる深さでそれが表現されているからである。要するに飽きさせないのだ。それは舞台美術にも表れている。目隠しとしても用いられる障子は、俳句の季語としては秋・冬に関係する。風鈴はお分かりだろう。オープニングの蝉の鳴き声は、ミンミン蝉。即ち夏も盛りを過ぎゆく頃である。こういった舞台上の総てが作品の生成・情緒・表現に関与してくるのだ。それら総てをひっくるめて東大の詭弁と京大の哲理・真理が対立し、椋平を通して世界が関与する。更に・・・も示されているが、観劇した人々は何を観るだろうか。実に面白いではないか? 

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    2021/10/02 09:15

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  • 鈴木さま、えざきさま
     コメント有難うございます、
    ハンダラです。皆さんの力が結集して
    良い舞台でした。今後も初心を忘れず
    自分を磨き続けて下さい。私は、朝から
    ちょっとラテンアメリカ文学の講義を聴いたり
    午後1時から途中10分と5分の休憩を挟んで夕方
    5時半迄びっしりアフガニスタンからの留学生や
    そのご家族をどう支援するか? についての
    ズームシンポジウムに単に自分が問題提起を
    するようある劇場支配人から頼まれている関係で
    研究者の発表や討論を見聞しておりました。疑問に
    思っていたことも随分整理でき、夕方買い物に出た折に
    雨が降り出してしまったので「世界」のアフガニスタン
    関連の記事を全部立ち読みし、それから買い物をして先ほど
    帰宅するというような生活です。読まねばならない本に追い掛けられて
    いますが、皆さま楽日迄、健康に気をつけ油断なく嫋やかに
    過ごされますよう。また、総ての方々に多くの稔りが有りますよう。
                                机下

    2021/10/02 23:35

    ハンダラさま
    「虹の人」ご観劇、そして嬉しいご感想もありがとうございます。
    こうして池袋演劇祭でラビット番長の演劇を観ていただけて幸せです!

    2021/10/02 15:13

    ご来場ありがとうございました!
    たくさんご感想も嬉しいです。
    着付けの練習頑張ったかいがありました👘

    2021/10/02 10:36

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