ズベズダー荒野より宙へ‐ 公演情報 劇団青年座「ズベズダー荒野より宙へ‐」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    題はロシア語で「星」のこと。冷戦期のソ連宇宙開発ドキュメンタリー劇というところか。敗戦のドイツ科学者を連行してきた1945年から、1965年、ソ連ロケット開発のリーダーのコロリョフが亡くなるまで。スターリンの恐怖政治の重圧から、フルシチョフの人間戦車ぶりの執政と失脚も併せて3時間で描く。
    ロケットの失敗、成功、路線変更、大成功、その悪影響等々と事件が次々おき、3時間を長く感じない。細かい史実はかなりコンパクト、スピーディーにこなしている。とはいえ、それでもかなりの手間を取られるなか、頑張って、人間の葛藤や衝突も描いている。

    コロリョフ(横堀悦夫)が、粛清され、6年間収容所で苦しんだこと、彼を売った男が、同僚科学者として戦後も一緒に働いたこと。ドイツ人とソ連人の科学者同士の対立。権力と科学、軍事研究と宇宙開発等々、面白いテーマが盛りだくさんだった。素朴で大らか、怒りも喜びも大げさに表現するフルシチョフ(平尾仁)の好演が光った。
    スプートニクの地球周回成功、ガガーリンの初の有人宇宙飛行成功など、舞台全員が歓喜の声を上げる大きな達成には、見てるこちらもうれし涙が出た。

    見終わって思うのは、50-60年代は米ソ超大国の時代だったなということ。大型プロジェクトも核戦争瀬戸際のキューバ危機、ベルリン危機も超大国の行動だった。米ソの指導者フルシチョフやケネディの存在感が圧倒的だったし、指導者の選択が、歴史を動かした。いまはGAFAの時代。民間が強くなったというより、相対的に超大国の地盤沈下は否めない。

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    2021/09/18 12:43

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