つみ 公演情報 アブラクサス 「つみ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     時代は湾岸戦争前後、舞台設定はアメリカ。同性愛が蛇蝎の如く扱われた物語をサブスクリプトとして描かれた現代版「人形の家」。見事である。華5つ☆ ベシミル!

    ネタバレBOX


     トラウマが精神及び身体に残す深く間断の無い苦しみを通して、自らの可能性を真実に向けて開いてゆく女性達の描き方が素晴らしい。ベッセル・ヴァン・デア・コークを挙げる迄も無かろう。親密になった人々の語る多くの事例から、実際に今作で描かれているような年輪も行かない子供たちへの心無い行為が為されていると信じる。そしてそのような大人達或は年上の人々の行為が子供達に与える取返し用のない傷が心優しく純粋な魂を悲劇の淵から深淵に陥れるのである。
     一方、世間とやらは手前勝手な価値観や「正義」を振りかざし、実際には知りもしない事件の真相にレッテルを貼り、蓋をする。それは無論、嘘と欺瞞と自らの価値観を構成する総ての要素が嘘に満ち満ちている事実を、自らの虚妄の体系に絡めとる為であるに過ぎない。それもこれもその程度のマヤカシで自らの「アイデンティティー」を満足させんが為である。
     然し、今作はこのような欺瞞を切開してみせる。誰にも言えなかった、即ち社会化できなかったことによって主張すべき真とは自ら思うことの出来なかった真実・事実をその深く残酷な痛みそのものが齎した事件の真相に潜む血も肉も骨の軋む音も総て踏まえ尚且つ己が身をも自ら手術して見せることによって客観化してみせた。その意味で今作も今までアサノ氏が描いてきた女性の女性による女性解放の太く豊かな流れを継承している。ただ、今作では、犯罪という形を取らざるを得なかった過酷なケースについてより踏み込んだ視座でより社会性を帯びた作品として上梓されている。羽杏さんが演じたリーを通して牧師エミリー・ライトは自らの内に在ったトラウマの意味する所を通して最終段落で筆者が述べたような成長を遂げるのであるが、これは現代の“ノラ”と言っても過言ではあるまい。無論、現代のノラはあの当時離婚した女性が性を商う他は無いと作品終了後のノラの人生を想像する読者が考えるのとは異なり、弁護士を目指せる点でまさしく現在の先進国女性の生き方をキチンと表現している。にも拘わらずこのような問題が起きてくる社会の闇をも表象しているのである。

    4

    2021/08/23 03:54

    3

    2

  • 羽杏さま
     お疲れさまでした。無事終了とのこと、何よりと存じます。
    小生、今日はクルドのデングベジュ(dengbêj:クルド族の伝統的・民族的な詩的表現者。アルメニヤ以外では、言語や伝統文化も禁止されるような生活を余儀なくされているにも関わらず、クルド語で圧政下にある民族の苦難の日常や、恋、英雄譚等を基本的には語りと歌だけで表現する詩人。クルドの人びとが最も人声に近いと考えているネイと呼ばれる縦笛だけは、伝統的なdengbêjも用いるとのこと。然し最近では、クルド語が禁止されている影響で若い世代では地域に根差したクルド語の単に意味を伝えるだけでは無い文化総体としてのクルド表現を理解できない者も増えてきているのでウードや他の楽器を用いる人々も現れているとか。このような状況を芸大の院にも居た女性が監督として映画にした「Voice from the homeland]という映画をズームで見て、京大の岡 真理教授が映画に関して突っ込んだ質問をし、それら全体を通して130名以上の参加者からの質問に答えるという形で勉強会があったので参加していました。監督は、金銭問題があるとのことで協力者が視聴者の中に居ればという意向だったので、自分もお手伝いできるかも知れない旨、事務局に連絡してあります。もし自分の紹介で一般公開されることがあり、ご興味おありでしたらご一報ください。未だ未だどうなるか分からない話ではありますが、ご興味がおありで具体的な話が出てきたらこちらからご連絡差し上げます。それから先日お知らせしていたリーフレット2冊「シリア知識人との対話」「中東現代文学リブレット2」については如何でしょうか? 目次等は既に纏めてありますのでご希望があれば概要をメールでお知らせします。
     何はともあれ、束の間、御一腹を。
                           ハンダラ 拝

    2021/08/30 01:15

    ありがとうございます。無事に終了いたしました。今回もありがとうございました!

    2021/08/29 19:32

    羽杏さま
    ハンダラです。こちらこそ今後ともよろしくお願いします。
    28日楽迄、駆け抜けてください。また、連絡差し上げます。
                            机下

    2021/08/26 13:09

    ご来場頂きまして誠にありがとうございました。
    感想を書いて頂きましてありがとうございます。これからもアブラクサスをよろしくお願いいたします。

    2021/08/25 21:49

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