明日の朝、いつものように 公演情報 LUCKUP「明日の朝、いつものように」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     感染対策がゴイス! Cチームを拝見。追記あり2021.7.21 24時6分

    ネタバレBOX

     曰くありげなタイトル通り、板の形そのものが、通常の長方形ではなく歪んでいる。下手手前にはサイドテーブルにソファ、対向する上手にはテーブルを挟んで左手に背凭れの無いベンチ様椅子、右手には通常の椅子2脚が据えられホリゾントへ向かう途中に背の高い電気スタンドや衝立様のものが置かれている。中央ホリゾントの手前にはバーカウンターと椅子が配置されている。板の位置そのものが高く作られて居る為、上手奥には階段が設けられ、ここから板上に上がれるよう出吐けが設けられている。
     物語は、Covid-19終息後の近未来という設定だ。男と女、そのカップルが暮らして行く社会の殆ど意識されることのない変容とその変容がカップルに与える間接的な影響を含め男と女の差異、その個性の差異、関連する人間関係の変化が齎す個々の認識の差異が結果的に齎した決定的な関係齟齬の裸形発見に至る。
     極めて巧みな物語の展開形式と演出が、解釈の多様性を生み、解釈の差異が生み出す登場人物相互の相関関係の解釈多様性を観客個々人がどのように納得できる解釈として採用するか、想像できる登場人物達のメンタリティーの微妙な綾を含め如何様な結論を出すか? は各々の観客に任された極めてスリリングな作品である。殊にラストシーンを観て同棲していた彼女が、どのようになったかは、各々の解釈の到達点として比較し合ったら興味深い答えが出てきそうだ。
      以下少しばかり追記をしておく。同棲カップルの結末に関してである。直接的にこれがこの結末に繋がるのだが、これとは即ち一緒に暮らし始めて5年、最近2年間2人の若い男女の間に1度も性の営みが無かったことである。女がそれなりに誘いを掛けていたのは劇中の動作で明らかだが、男は全くその意味を理解しないと解されて致し方ない対応しかしていない。
     人間の男と女に進化する前に単に哺乳類として系統樹に先祖が存在してからに限っても雌雄異体の生き物各々(♂・♀)の差異は本能的な差異として顕現したハズである。ましてそれが、知を持つヒトとなれば、本能と雖も単純な形で現れることは在り得ない。必ず各々のraison d’êtreと深く密接に結びついて機能する。仮にそれを当事者が意識していようと居まいとである。それが存在の根底に関わる事象だからだ。
     さてヒトに限らず雌雄異体である♂・♀は性行為によって生じる結果が異なる。当然の事ながら性差による肉体差・事実認識・体験・精神的傾向の差が存在する。ヒトレベルの高等生物になれば、種の性差についても、これを愛という精神性としてアウフヘーベンしようとする精神活動も現れ、一般的にそれは愛の対象としての互いの存在に対する自己投棄として顕現しよう。そのような精神性を含めた肉欲がヒトが人として求める性行為の理想に近いだろう。ヒトという種の女性の場合、殊にこの精神性を求める傾向が強いように思われる。そして仮に性行為があったとしても、この精神性が欠けていれば男性よりも多くの不安やストレスを抱え込むように思う。まして今作のケースでは、2年もの長きに亘り愛を確かめ合う性行為そのものが無かったのである。その精神的ストレスは大変なものであったハズで、その点が実にキチンと描かれ、その点に気配りできなかった男の情けなさが矢張り、終盤の暴力的な言動で表されている点でも、また妹夫婦の上手く回っている人間関係との対比によって、また同棲カップルの男VS第三者的女の男女関係対同棲カップルの女VS職場の男との情事が、各々、1人称・2人称・3人称という世界関係に対応していることによって世界全体に繋がっている点にも注意を喚起しておきたい。


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    2021/07/20 14:07

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  • 皆さま
    ハンダラです。若干追記しておきました。ご笑覧下さい。

    2021/07/21 00:09

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