聖なる日 公演情報 劇団俳小「聖なる日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    二回目。台詞や演出を変えているのか、自分の記憶違いなのか、色々と変わって見えた。
    いろんな登場人物が顔に唐突に塗りたくられる白のペイントが効果的。『地獄の黙示録』を彷彿とさせる、『覚悟』の演出。しかも、その『覚悟』は結局何にもなりはしないのだ。
    映画化するならガウンドリーはホアキン・フェニックス、コーネリアスはティモシー・シャラメかな。

    ネタバレBOX

    ラスト・シーン、ノーラが自身の髪留めを外しオビーディエンスに結わえてやる。血塗れのオビーディエンスが灯の点らないランプを下げて終幕。
    今回一番考えさせられたのがキリスト教について。宗教を馬鹿げた迷信だと気にも留めない人であればどうでもいいことであろう。ただ宇宙空間や戦場など、生死の極限の環境において人間は『神』を欲し感ずるのも事実。狂ったイカれた人間程、座標軸としての『神』を必要とする。キリスト教の下らなさを登場人物が罵れば罵る程、その実異常に欲している心理を感じさせる。
    荒井晃恵さん演じる宣教師の貞淑な妻、エリザベス。彼女の行動がこの物語そのもの。自分の赤ん坊を殺し、建設途中の教会に火を点け、原住民に見棄てられた無力なる宣教師の夫に銃を渡し自殺を促す。それでいて『神』への信仰は微塵も揺るがない。
    自害した原住民リンダの死骸に『神』への祈りを捧げる。それを欺瞞だと拒絶するオビーディエンス。「これはやらなくてはならないのよ!」と叫ぶ名シーンが凄く深く、未だ咀嚼出来ていない。
    知性で造り上げてきた立派な『神』の物語が、自然からは何も関心を持たれず無視される屈辱。
    『神』がいるとして、『神』に向けて書かれた作品なのかも知れない。

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    2021/03/27 22:30

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