実演鑑賞
満足度★★★★★
#アマヤドリ
#生きてる風
現代社会が抱える闇…病み。海底生物のごとく閉ざした世界にひっそりと生きる。かつての世でも俗世との交流を断ち、山奥で暮らしたりする歌人や詩人などもいた。ここにいるのは、その世界から抜け出そうとする者、抜け出す手助けをしようとする者、抜け出さずにいる者。解決するきっかけとなる事件……なんて起きない。特効薬もない。その心理…真理について抉る……ことはできなくても、一歩踏み込む。
主宰の広田淳一さんの新作はいつでも刺激的だ。その言葉が観客の心を絡め取って行く。
今回、劇団を離れていた #松下仁 さんの出演を知り、リアルに叫び声を上げ、泣いた。アマヤドリらしさというものがあるとすれば、間違いなく彼の中にそれはあった。そして彼の妹役の台詞の向こう側に、劇団を離れた女優の姿…言葉があった。彼女は彼女であると同時にアマヤドリそのものだったと、改めて知る。わかっていたけれど、わかっていなくて……凄い発見だった。
同時に、初見の #宮川飛鳥 さんと #徳倉マドカ さんという若い二人の力強さに惚れ惚れもしている。魅力的な若い俳優さんとの出会いは、なんとも幸せだ。
そして、開場から客出しまで130分リアルに引きこもる、ほぼオブジェの #大塚由祈子 さんに敬意を。