飛龍伝~風信子と共に~ 公演情報 ThreeQuarter「飛龍伝~風信子と共に~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     花チームを拝見。タイゼツベシミル!

    ネタバレBOX

     ずっとaufhebenという言葉を思い起こしながら観ていた。当に自分達は高校時代に自分を含めた多くの友が機動隊と戦い時に傷つけ、生涯残る傷を負い或は自ら命を絶った。東大入試が見送られた69年は受験1年前、現役の我々世代の多くは70年も東大入試が無い可能性から多くは京大に流れた。桂木タイプの要領の良い政治屋タイプは確かに居て、最初に扇動して動きを作った後は、しっかり身を引き、受験勉強に励んで実際には中止されなかった東大を受験しライバルの多くが京大に流れて比較的広くなった門を潜っていった。まあ、そんなことはどうでも良い。原作者のつかは苦労人であるから、大学へ入れる比較的恵まれた階層の子弟と機動隊に入る比較的貧しい階層の人々を均し並みに扱って区別・差別をしていない。この慧眼こそ、表現者つかの最も優れた武器だろう。自らの出自が被差別者故のこの目線の如何に本質的且つ一見ハチャメチャな言語表現を真の優しさに満ち、人間的温かさで満たしていることか。学生たちの革命感が徐々に本質に迫って行き、遂にはその頂点に達することの何という美しさ、靭さだろうか。同時に機動隊員達がデモ隊を分断した後、護りを失った女子たちの下腹部に半長靴で「子供産めない体にしてやる」と喚きながら散々蹴りつける現実を隠し、鬼の4機と恐れられた機動隊隊長・猿谷と国会包囲戦で落命した樺美智子をイメージしたのが明白な神林が抜き差しならぬ恋故に殺し殺される悲恋の主役となるこの国の歪み。本気で考えた者だけが持った危機感の果ての覚悟を、自分もまた思い出した。熱い作品であると同時に活動家各々の革命感が単に闘争の為の目標だの戦略・戦術だののレベルではなく弱い者を護り、弱い者・貧しい者に惨めな想いをさせぬような社会を創るということにキチンと向けられてゆくことの本質的な正しさと普遍性を描き込めたことに今作が60年安保闘争からITの進展によって一部のテクノクラートや彼らの技術を支配に利用することで己の力を温存する輩と、他の総ての奴隷と化した人民だらけの現在の世界を、収奪に翻弄される我ら自身の社会的位置及び様態を見せることで繋いでいるのである。考えよ弱者諸君、その思考のみが君たち自身を救い、明日を夢で満たす唯一のそして最も合理的且つ平和的な解決法である。手始めに民意を活かす直接民主制を法制化しよう。我らこそ、主権者なのだから。

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    2020/11/28 02:15

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