満足度★★★★
タイトルにある「四幕の喜劇」は、表層的な笑いを誘い喜劇とした訳ではないだろうが、結果的に観せ方(演出)がそうなったように思う。チェーホフの戯曲は、当時のロシアの社会・政治状況を背景に旧・新を代表した人物を登場させ、矛盾した状況を皮肉ることで喜劇化したのではないか。もっとも個人的には単なる喜劇ではなく”悲喜劇”のように思えるのだが…。
いまだにこの作品が読まれ、上演されるのは、時代を超えてそこに生きる人々の生命力を賛辞しているからではないか。没落富豪(貴族)のラネーフスカヤを始め、未来志向のロパーヒンやモトフィーモフ、登場する人物すべてが何とか生きようとする、その人間洞察、鋭い社会批判を指摘する。そして現代でも色褪せない生き生きとした会話が魅力である。
戯曲は面白いが、それを体現する役者の演技力に差があるようで、芝居としてはバランスを欠いたようで残念。
(上演時間1時間50分 途中休憩なし)