忖度裁判 公演情報 ワンツーワークス「忖度裁判」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     普段全く知らないで暮らしてきた裁判官と検察、裁判長と右陪席・左陪席との関係。恐らくこのようであろう裁判員の在り様がその所作、台詞、ストップモーション、効果的な照明や音響によって表現されており、この日本という社会の悍ましさのリアルが良く表現されている。

    ネタバレBOX

     日本という「国」には民主主義等無論無い。矛盾を承知で敢えて日本の政治体制を表現するのであれば、それは“奴隷民主主義”とでも名付けざるを得ないものだ。この表現の矛盾は奴隷根性を持たない者であれば即座に正解を出す類の矛盾である。そしてその根本的責任は、主権者たる我ら国民にこそ帰せられなければなるまい。今更言う迄もないことではあるが、徴用工問題や従軍慰安婦問題に対する嫌韓本やネトウヨの言説の的の外し方をみても、民主主義の根本原理の1つである三権分立を理解していないのが明らかだ。日本政府は、この問題で韓国政府に抗議をしている、等がメディアで流布されているが、この全く意味の無い表現は何なのだ! 司法が独立している以上、行政の判断と異なる場合があることは民主主義の必然であるから、行政府に抗議をしても意味が無い。そう考えるのが論理的思考というものだろう。
     ところで今作は、実際に起こった音羽幼女殺人・死体遺棄事件を下敷きにしている。事件は1999年11月22日に文京区音羽で起こった。当時、自分は西アフリカから帰国したばかりであったから、日本の異様さには、酷く敏感であった。それもあって直ぐNYへ飛んだ。尤もNYは単なる旅行であったが。こうして海外を飛び回っていた間にも“公園デビュー”だの“お受験”だのという表現に込められた日本人及び日本社会の異様・異常でグロテスクな階層意識には頗る付きの悍ましさを覚えた。今作の背景にあるのは、この悍ましさを感じさせる社会の歪みのような気がしてならない。無論、忖度もその歪みの1つである。劇中何度も繰り返される裁判官の独立性については、ハッキリ言って茶番という方が多くの裁判官の実際を表しているのではないか? 実際裁判長は人事権を握っており、そのような地位に就く為にも検察の主張を基本的に正当とする判決を積み重ねることによってしかその地位が得られないのであれば、単なる秀才の選択肢は1つあるのみである。即ち検察の主張を基本的に通す判決を下すことだ。そこに正義等あろうハズも無い。或るのは出世主義と打算、名誉欲と金欲、正義とは真反対の欲望の充足のみである。こんな連中に真っ当な判断等下せる訳が無い。彼らの下す判決とは即ち詭弁によるアリバイ作りでしかない。茶番だ! だからこそ、全く実感の無い被害者の親の痛み等を根拠とすることができるのであろう。偽善の最たるものではないか!

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    2020/11/05 16:15

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