『雪間の草』 公演情報 虚空旅団「『雪間の草』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    再演、前回の初演は予定の都合で行けなかったので、今回が所見。
    利晶の杜の中に入ることも、地元でありながら、初めて。
    興味津々でした。

    日曜日の午前中だというのに、チケットカウンターはなかなかの列。
    賑わっていて、物産物販等も眺めながら、あぁほんまに一応観光地なんやなぁと実感。
    早めに着いてて良かったと思いながら列に並び、無事に開場前に余裕もってチケットも買えて、公演会場であるお茶室へ。

    来るのも初めてなので、茶室も初めて。
    近代的な建物の中に、ちゃんとした茶室が建造されていて、びっくり。
    部活動で茶道を習っていた高校時代を懐かしく思い出したりしながら、開演を待つ。

    ネタバレBOX

    千利休といえば、個人的には晩年の血生臭いエピソードに触れる機会がほとんどで。
    故に千利休といえば頭に浮かぶのは権力者との交流や、その最期だったりするわけですが。
    この作品では、それより少し前、まだ豊臣秀吉等と関わる前の時代で。
    主に夫婦間の愛の話でした。

    この時代では、嫁ぐ年齢って現代に比べたらだいぶ若いうちで。
    だからろくに恋もせず、恋に恋する娘さんのまんま嫁ぐことも珍しくないわけで。
    ほんとなら段階踏んで精神的成長を遂げて、大人の女性になってから嫁ぐところを。
    実らぬ初恋、憧れから脱しない域である淡い想いを引きずったまんま胸に秘めたまんま嫁いできた妻。
    そしてそれを察してしまう夫、悩む夫、劣等感を抱えてしまう夫。

    せつないですよねぇ、いや妻の方じゃなく、夫の方。
    大切にしたいと、幸せにしてやりたいと思ってる妻が、自分に対しては妻としての義務感でしか接してないってさ。
    自分の妻となった今でも、想いはずっと初恋の君の方にあるってさ。
    そりゃあ、他所の女性に癒し求めるのも仕方ない…って思っちゃいました。
    でも自分は夫にその仕打ちなのに、胸のうち知られた上に、夫の浮気知ったら、開き直って居直ってしまう妻。
    なんかもう切なかったし、ものすご~く人間臭かったです。

    そののち歴史は進み、初恋の君は歴史通りに亡き人になってしまう。
    そのショックで生きる気力を失い寝込む己に対する夫の接し方に、自分が絶望の中にいるような状況の中でも、前向いて未来見据えて茶の湯を通じた信念抱く夫を前にして。
    ようやく妻は目が覚める、浮かされたような夢見てるような初恋から、傍らに在る夫の存在に意識が向く、現実に還り娘さんから大人の女性になる。

    天下に名だたる歴史に名を残す茶人である千利休でも。
    ひとりの男であり、ひとりの夫であり、ひとりの人間である。
    そんな世で描かれがちではない、側面を垣間見ることができる作品で。
    ちょっと身近に感じさせて頂きました、三好長慶の生涯ついても調べたくなるくらいに。
    産まれてからこれまでずっと住んできた場所、そこかしこに歴史が潜んでいて、普段の日常生活においては強く意識することもなく過ごしてますが、この地を何百年も前に歩いていたんだとか思うと浪漫に胸が高まります。
    帰りに館内の展示も鑑賞し、隣接の千利休屋敷跡も見て、さらに足伸ばして南宗寺まで行き。
    充実した休日でした。

    余談ですが、茶室のかまち、わたしは自分の感覚だと気が付かなかったのですが。
    男性である浅雛さん、田米さんは長身でいらっしゃるので、実際に立たれてみたら、普通に通ったのでは頭をぶつけてしまう高さ。
    ぶつけちゃったりしないのかな…?と心配になりましたが、それはもう見事に芝居中にチラッチラッとちゃんと自然に目視で確認して通っておられて。
    さすがやな~と感心でした。

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    2020/11/01 17:32

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