満足度★★★★★
シルヴィウ・プルカレーテ演出というとちょうど3年前同じ東京芸術劇場プレイハウスで行われた「リチャード三世」を思い出す。奇抜な演出でそうすることの意味がさっぱり分からなかった。今回もああいうものなら嫌だなあと思っていたが全くそんなことはなかった。左右に移動する板に乗っての移動とか半透明のスクリーンに映し出されたリアルな映像とかの飛び道具は使われているがそれも含めて極めて分かりやすい。
野田秀樹潤色とあって「潤色って何?」となるが原作の大まかな枠組みは保持しながらも場所を日本に移し、悪魔メフィストを登場させ、しかも主役級の大活躍をさせる。ここまで崩すとあとはやりたい放題で言葉遊びの洪水である。「妖精に要請する」とかのダジャレ連発も良いが「口に出さずに飲み込んだ言葉はどうなるのか」なんていう話も嬉しい。
原作が何倍にも膨らんでいて理屈抜きに楽しい。どなたにもお勧め。