MISHIMA2020 公演情報 梅田芸術劇場「MISHIMA2020」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    なぜ、いま三島没後50年でこの4編を上演するのか、解らないが、今回上演の一編「真夏の死」は面白く見た。演出は「た組」の加藤拓也。出演は中村ゆりと平原テツ。三島存命中、その後しばらくは一切原作に手を入れられなかったが、今回はかなり原作へのリスペクトはありながらも、切り込んでいる。班女と違ってこちらはもともとが小説である。この脚色が非常にうまくいっている。
    日生劇場の大きな舞台に椅子が二脚、そこの男女二人の役者が腰を下ろし、夫婦のモノローグ風に物語を語っていく。始まった途端、失礼ながら、あまり大劇場の経験のない演出・俳優で、いくら1時間の短編とはいえ、これで大丈夫か、と思ったが、どうしてどうして、小さな舞台から少しづつシーンを広げていく段取りなどうまいもので、最後には広い海浜まで目に見えるような気がする。椅子にちょっとした仕掛け(椅子の足だけ延ばして高くなる)があるだけで、こういう構成ができるのは大したもので、俳優二人も大健闘。ことに中村ゆりは、ナレーション風の読みの緩急もうまいし、後段変化していくところもそつがない。
    班女は近代能楽集で、麻美れい、中村蒼、橋本愛、演出は熊林弘高、興行側としてはこちらがメインだろうが、三公演では気が乗らないのか、装置は埋めようと考えているのに大きな舞台を持て余し気味で、やはりこの戯曲は紀伊国屋ホールあたりが適度な大きさだと思った。その点でも、「真夏の死」は結局大劇場に負けていない。拾いものの良さであった。
    それにしても、コロナ自粛もそろそろ終わりだろうが、ほんとにしらける。こんなことを劇場側が得意そうにやっているようでは、劇場に客なんか戻らないぞ。全興連も政府に唯々諾々としたがっていると肝心の客を逃がしてしまう。

    0

    2020/09/27 11:11

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大