第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020 公演情報 シアターX(カイ)「第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    第14回シアターX国際舞台芸術祭2020 5日目 2020.6.25 19時
    5日目は、出演2組。次回公演は27日(土)14時半開演、演者は3組、5日目とは演目、出演者共に異なる。

    ネタバレBOX


     5日目出演順にⅠ:酒井エルさん、ダンスの演目は「フィールドノート」ご本人は自然の中に身を置いてそこから感じたり、体得したもの・ことを表現した、とおっしゃっていたが、序盤から中盤までは暗転した舞台の何処にどのような姿勢で現れるのかが全く見えない中、明転すると其処に彼女がおり、ある姿勢を取って各々異なったダンスを披露するという感じで、最初は海の波音の擬音を出す箱などの容器の中に小豆等を入れて緩やかに中の小豆を回したり傾けたりする動作が、地球上に海が現れ地球に影響する太陽エネルギーの0.2%が起こす波・風を彷彿とさせ、彼女の身体の他の部分では母なる海に生じた原始的なアミノ酸結合体から生命が生まれ進化してプランクトンになって波寄せる浅瀬で揺蕩うような動きが、小道具から生じる波音とスピーカーから流れる波音の音響の中で演じられ、暗転後は舞台縁迄移動した彼女は右側の体側を板につけ顔は舞台ホリゾントに向けて横たわったところから動き始めた。この間音響は、強い雨が地面を叩くような音、雷、強風等々と変化し続ける。これらの音響変化を自分は地球の歴史と捉え、その中でプランクトンから様々な生き物に進化してきた生命の歴史がダンスで示されているように感じた。(但し、ここでこのような解釈をしたことと、現在地球の歴史を繙く科学者の認識は無論、多少異なっている。唯、科学者ではない人に其処迄要求するのは酷であろう)3度目の明転では、組み上げた階段を上り当にホリゾントに張り付く蟹のように蠢く身体表現を見せて鮮烈な印象を与えた。ラストでは、再び最初に用いた擬音を出す小道具で波音を聞かせてくれたが、自分はPaul ValéryのLe cimetière marin(海辺の墓地)の一節、La mer,la mer,toujours recommencée!(海よ、海よ、無窮に繰り返す!)を思い出し母なる海から生まれた我ら生き物が、その個体発生に於いて海とそっくりな組成を持つ母の胎内の羊水の中で系統発生を繰り返して生まれてきたことをも考えた。不満はと言えば、若干、演技がおとなしすぎるという点か。華4つ☆  
    Ⅱ:日野 利和さん、アベ レイさん、藤田 恭子さんの3名。演目タイトルは「パラレルワールド」だ。板上やや下手奥には3mほどの高さの脚立が立てられ、その足元に大きな薬缶、真下にはセメントを捏ねる桶のような物が置かれ、その中に女が1人体を丸めて俯いた状態で座っている。襤褸を纏いビートルズの曲にのって現れた現れた男が所せましと動き回るのを、セメント桶から出ずに何とか捕まえようとする女との鬩ぎ合いが幾度か続いた後、女は外に這い出して、飛び回る男の足元を捉え、着地させる。この辺り、女に捕らえられた総ての男には、体験感覚があろう。男は常に今あらぬ所・時へ飛び去ろうとし、女は自分の居場所に繋ぎとめようとする。この束縛を男は本能的に嫌うのだ! 何となれば男の本性はその非在性にあるからであり、女の本性はその存在性にあるからである。その双方の自由は従って真逆のベクトルを持つ。
     ところで、取り敢えず女に捕らえられてしまった男は女の下僕であるから(存在の前で捉えられてしまった非在など如何程の価値があろうか?)カップルの形態を採っているのだが、ここに第3者としてもう1人女が現れる。ところで新たに現れたこの女は、意味を伝える言語は用いない。言葉と音楽の間にある音声表現を用いつつ、最初の女から男を獲ってしまう。捨てられたというか、男を獲られてしまった女は、独り孤塁を保つが、やがて己の巣に戻り、独り何事かをし出す。新たなカップルは、互いに向き合って飛んだり跳ねたり、数メートルの距離を置いて対面する時に口を丸めて同時に大きな円を作って見せたりのコレスポンダンスに興じていたが、無意味だが示唆的な音声を出す女に対して、「は」だの「何」だの「熱い」だの意味のある言葉で、好き勝手を互いにしているようでいながら、パラレルな中にも接点を持った2人が、セメント桶に戻った女の所を覗きに来て、彼女が棲家から持ち出し、むしゃむしゃ口にしているもののおすそ分けを貰う。すると阻害されていたハズのセメント桶の女と第3者として現れた女、後者に奪われた男の間に一種の連帯、紐帯が生まれ、第3者としての女が薬缶を手に脚立の上に上がって第1の女、男の順に頭上に掛ける水は、即ち命として共生してゆくこと、或は農耕が開始されて以降の人類史を暗示しているという具合にも解釈できる。そんな物語を組み立てることのできる作品であった。実に楽しく拝見した。
    終盤、男と半分軟体動物と化した最初の女が見せるダンスも実に示唆的で面白い。華5つ☆

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    2020/06/27 02:48

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