HOMO 公演情報 OrganWorks「HOMO」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    まず「人類」というテーマ設定に魅力を感じました。大きいなあ、と。最近、荒川修作のドキュメンタリーを観たのですが、「死なない」とか言ってて良いなと思った感覚に近い好感を持ちました。

    ネタバレBOX

    しかし実際に作品を観てみると、「人類」を描くにはあまりに洗練された身体しか登場しなかったように思いました。どうしてもHOMOの動きに違和感を覚えてしまいました。同期・直線的な身振りをするLEGOは、身振りと身体がフィットしているように見え違和感はありません。しかし、バラバラ・破線的な身振りをするHOMOは、「洗練された身体が、洗練されていない身体を演じている」ようにしか見えませんでした。日常から離れた身振りをすることに特化された身体の、スムーズできれいな身のこなしが、伝えたいイメージを伝達する上で障害になっているように思えます。つまり、ずっと「ダンサーの身体」が邪魔をしたままのように見えました。

    個人的にこの作品の中で最も魅力を感じたのは舞台美術です。ダンサーが不意に美術に触れた時の、細い針金の揺れは、意味はよくわからなかったですが、単に面白かったです。「ダンサーの身体」にある種拘束されているように見えるダンサーの周りで、ぐらぐらと揺れる美術はとても自由に見えました。

    また人類の描き方は少々ステレオタイプすぎるのではないかと思いました。デウスでもルーデンスでもファベルでもなんでもいいのですが、上演からOrganworksの人類観をもっと知りたかったです。物販で購入したアイデアノートを見るとわかる部分もあるというか、歴史を辿るようなプロットや意味をなさない発話によるコミュニケーションが登場した理由はなんとなく理解できるのですが、上演単体で考えると情報の整理がしきれていないように思います。

    過剰に上司にゴマをするように手を頻繁に揉み込む浜田純平さんの動きが面白かったです。紫モヒカンにサングラスというちょっといかつい格好なのに、その動きからは虫とか鳥的な印象を受けました。何かに見えるような演技するのではなく、このように何かを観客の内面に想起させる身振りを全面的に採用して作品を組み立てると、また違った作品になるのではないでしょうか。

    <参考>
    岡田利規『コンセプション』:https://amzn.to/2xujYh7
    (「何かを観客の内面に想起させる身振り」について語られていました)
    『死なない子供、荒川修作』:http://www.shinanai-kodomo.com/
    『死なない子供、荒川修作』視聴ページ:https://bit.ly/2yklkeI
    (2020年6月末日まで無料公開中)

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    2020/05/02 04:48

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