インテリア 公演情報 福井裕孝「インテリア」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    2018年にスタートした「#部屋と演劇」と題されたプロジェクトの最新版。
    観客は、部屋に見立てられた空間に、自分の部屋から持ってきたインテリア(といっても、サイズ的に生活用品や置物に限られますが)を配置します。

    ネタバレBOX


    やがてこの部屋に男が帰宅し、日々のルーティンをこなしたのち、出かけていきます。と今度は舞台奥のドアから女が入ってきて、やはり自分の時間を過ごし、出かけていきます。男は舞台の手前、女は奥を主に使うので、二つの部屋は隣り合っているのでしょう。ただし、壁はないので「インテリア」は共通です。さらにこの空間に(想定される「部屋」とは関係なく)絵やオブジェなどを運び込み、展示する女性が現れます。これが3度繰り返されます。

    ものの配置は男女それぞれの行動に合わせて変わる(変えられる)ため、特に几帳面に同じ行動を繰り返す男性の暮らしに、女性の暮らしが一部干渉、浸食しているように見えます。実際、女性の置き換えたものによって、男性の行動は向きを変えたりもします。台詞もほとんどなく、事件が起こるわけではないのに、なぜか見ていられるのは、こうした変化を、無意識にでも追っているからでしょう。また、全編を通じて、自分の持ち込んだアイテムからがどう扱われるのか、そこから見た風景を想像してみる、という関心もあります。

    人やものの移動が、周囲の空間や他者の行動を書き換えること、時には「展示空間」のように、その場所自体が意味の異なるものになる可能性。いま考えるとこれは、その作品世界に、外部から観客=ものがやってくることも含めて、とても「劇場」らしい演目だったのかもしれません。

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    2020/05/01 16:56

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