ゆうめいの座標軸 公演情報 ゆうめい「ゆうめいの座標軸」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    CoRich舞台芸術まつり!の審査として『弟兄(おととい)』を観劇しました。
    作・演出の池田亮さんが演劇作品をつくり始めた現在から、中学時代に経験したいじめ、その後高校で知り合った親友=「弟」とのエピソードを回想する物語。

    ともすればやや乱暴にも感じられる大胆な踏み込みと、何重にも考えられた繊細さの両方を味わう、複雑な観劇体験でした。

    ネタバレBOX

    俳優が演じる「池田亮」さんが、「池田亮です。初めまして、どうぞよろしくお願いいたします」と話し出す冒頭から、現実との境目は曖昧。以前はいじめっこも実名で演じていたのを今回は取りやめた、と説明する台詞にもリアルな憤りが滲みます。

    序盤で描かれる苛烈ないじめの実態には目を覆いたくなる部分もあり、リアリティがあればあるほど、むしろこれは(実名はとりやめたにしろ)作品の形を借りた「暴露」「復讐」なのではないかという疑念さえうかぶほどでした。ですが高校の陸上部で出会った「弟」の登場以後、グッと視点は複雑化されます。同じいじめられっこの「弟」との関係は対等のようでいて、やや「兄」の方が世間ずれしていて上でもあり、特に卒業生を送る会の出し物をめぐる二人の感覚の差を描いた場面は秀逸でした。程度の差はあるものの、そして、見たところは踏みとどまってはいても、人は容易に加害者にもなれるのです。

    大学進学から現在を描く終盤は、さらに「赦し」について考えさせられる展開になりました。我慢しない、痛快な(?)復讐のさなか、夢の中に現れた弟との再会、暗転直前の、池田が伸ばした手がギリギリ弟に触れない、その距離に胸を突かれました。

    0

    2020/05/01 14:16

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大