人形劇「みつあみの神様」 公演情報 人形劇団ひとみ座「人形劇「みつあみの神様」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     タイゼツベシミル。華5つ☆。少しだけ追記! 3.21

    ネタバレBOX

     言わずと知れた名人形劇団ひとみ座。「ひょっこりひょうたん島」は、この劇団が演じた。何が素晴らしいってこの劇団、物である人形に魂を宿す、人形劇の金字塔だと自分は思っている。ここには詩があり、普遍性があり、見なければならないもの・ことを見る勇気と人間の最も素晴らしい性質、想像力とそれを未来へ向けようとする意志、そして世の中を過不足なく、つまりバイアス無しに見ようとする詩人の視点がある。期待して観に行き、見事期待に応えて頂いた。戦中の劇団史を存じ上げないが、自分の拝見している限りでは流石70年の伝統と研鑽の証拠を至る所で見せられたというべきか。登場する生き物たちの形態模写の素晴らしさ、ウミガメの歩行の様子や、タコの捕食時の動き、海が描かれる最初のシーンに海月が登場するセンスの良さ等々。無論これらばかりではない。海のその時々の模様を壁のような波で表現したりするのだが、これがまた見事。脚本も極めて明示的に事態を表しており、照明、音響も舞台美術も素晴らしい。
    自分は始まって直ぐ、海月やタコ、魚群などの登場直後に何やら生活物資が海中に漂い、流れてきたのを観た瞬間、背筋が凍った。この直観通りその後は3.11大地震と大津波、3.12人災の過酷な状況が描かれていると解釈した。無論、今作如何様にも解釈できるように作られているが、終盤の女の子と男の子の逃走の果て、男の子は外へ、女の子は内へ残る、というシーンが描かれるが、これを自分は愛し愛される者の分断の象徴と観、胸が塞がれる思いをした。それだけ人形劇としても如実にレベルの高い作品である、同時に実に深い問題(即ち日本の一般の人々が御上の下した命令と判断した時、盲目的に従うエポケー(一般に判断停止と訳される元ギリシャ語)のバカバカしさとその民衆のエポケーを利用し続ける為政者の奴隷となり、結果的にアメリカの奴隷ともなって勇んで隷属的に振る舞うことを選び、結果己の子を犠牲に捧げるような理不尽をそれと気づかぬまま実行する愚か者としての日本人問題)を提起をし、考えさせてくれる秀作である。
     おっと大切なことを書いていなかった。今作には生身の少女が登場する。これは通常のメタ化ではなく、位相とでも呼ぶべきレベルが介在するということだ、この意味する所を考えることも頗る興味深い宿題と言えよう。

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    2020/03/19 02:14

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  • 皆さま
    少しだけ追記しておきました。
             ハンダラ 拝

    2020/03/21 11:28

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