東京ノート・インターナショナルバージョン 公演情報 青年団「東京ノート・インターナショナルバージョン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    平田オリザ『東京ノート・インターナショナルバージョン』を観劇。

    言わずと知れた90年代小劇場の最高傑作で、今作は国際版。

    欧州では戦争が起きていて、各国が美術品を守る為に、日本の美術館で保護してもらっている。だからか沢山の美術品が一同に会しており、あのフェルメールが全て揃うくらいの勢いだ。
    そしてたまたまその美術館にいた日本人、中国人、台湾人、韓国人、フィリピン人、ロシア人、アメリカ人たちのロービーでの僅かな時間を描いている。
    平田オリザの同時多発の会話劇を、多言語を巧みに操って展開していく。そこでは家族同士の些細な問題から、個人が抱えている悩み、戦争への参加、不倫問題、戦争反対などの会話が各々で繰り広げ、群像劇ながらも、殆ど他者が交じり合う事もなく、静かに進んでいく。勿論、物語には起承転結もなく、彼らの会話を盗み聞きするような感覚だ。
    そして彼らが抱えている問題は何も解決する事もなく、終演を迎えるのだが、その瞬間に「一体何だったのか?」という疑問に落ち入るが、「戦争も個人も、人間にとっての悩みに大きな隔たりはない」と気がつく事によって、テーマに辿りつけるのである。
    やはり何度観ても、傑作は傑作ある。

    平田オリザが今作を作った事によって、過去の演劇史を全く変えてしまったのは事実だが、それ以上に彼を超える新しい劇作家が、未だに登場してこないのは大問題である。

    0

    2020/02/09 17:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大