雪女 2 公演情報 Dance Entertainment REACH「雪女 2」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     個々の演者のレベルは高いが、こういう公演は総合芸術だ。高い能力を持った個々人の素晴らしい表現を、どう全体として関連づけ、統一感のある作品に仕上げてゆけるかが課題と観た。(今回は、ネタバレに挙げたような理由で華4つ☆としたが、今後に期待している)

    ネタバレBOX

     昏い空間は想像力を羽ばたかせる。寺の本堂仏前に設えられた結界が舞台になる。この結界は、竹籤で多少歪に編まれた上部三分の一程が開いた球形のほやの中に電球を埋め込んだ構造の照明器具を楕円の円周上に十近く並べた光の結界だ。可也明度は低い。本は絶対読めないし、輝度の調性はするが、時折、黒い衣装がギリギリ明度の差で分かる程度のシーンもあり、全体として白い衣装で雪を顕わしつつダンサーが群舞する時でさえ、表情がハッキリ見える程度の明るさだ。この明暗のセンス、殆どの時間聞こえる水音、開演前のチェロの音等々。並々ならぬ美的センスを感じるし、個々のダンサーの舞いの腕は見事なものである。これだけの舞い手が群舞を踊った時など当に圧巻。舞とはこれほどまでに美しいものか、と感激した。
     但し、一応「雪女」という民譚を下敷きにしているのであれば、メインストリームと、若い女が冬山に入って雪女に出会い、命の攻防に敗れるシーンや、男の忍びが、暗がりの中で何者かに襲われるシーン等、幾つかの挿話が踊られるのだが、その各々の踊り自体の素晴らしさとメインストリームとの関係が見えないのは残念であった。冬山に入った若い女を踊ったダンサーさんに訊いてみたら、彼女としては、好きな男を追って冬山に入った若い女を踊るという気持ちで踊っていたのだと伺った。そういうことならば、ほんのちょっとした科白を序盤に挟むとか、その後、音響を用いて後追いをする女の道行のような雰囲気を音で描くなり、何処かに伏線として短い科白を仕込んでおくと、何故、雪女は、里の男に出会いに山に彷徨い出るのか? などと観客は勝手にイマージュを膨らまして、物語りはドンドン深まり、忘れ得ぬ作品として心の奥に何時までも残るだろう。大抵の昔話で雪女に出会った男は殺されている。男に会えば殺してしまわざるを得ない雪女の悲しさ、寂しさと、赤子を抱いて現れた今回の雪女の、残した物が、多数の大判だということは、彼女にとって耐え難いアイロニーですらあろう。女性として子を産みたい、惚れた男の子を産みたいという切なる念も考えるなら、彼女の孤独の深さ、悲嘆の深さには同情すべきものがあるようにすら思うのだ。そして、このように雪女を捉えるなら、何故、彼女が若く美しい女を殺したのか? その哀れで惨めな気持ちも表現することができたであろう。このようにして各挿話と雪女の関係が示唆されていたら、大傑作になったこと間違いなしだ。
     音響も面白い試みが為されていた。まさかアフリカの楽器・カリンバが登場するとは思わなかったのだ。自分も西アフリカのギニア・ビサウとセネガルに住んでいたから懐かしくもあったし。
     ダメ出しをもう一つ。パーカッションを叩く人が入れ替わったりしていたが、ダンサーの身体的動きとパーカッションの打ち方がずれていたシーンがあったのは残念。個々の演者はポテンシャルが高いので、もう少し事前のリハをキチンと決めて貰えればありがたい。今後に大いなる期待をしている。

    5

    2019/12/04 02:09

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  • 中谷さま
    全体を見渡して創作して頂くと良いように思います。
    今後に期待しています。皆さまにもよろしく。
                      ハンダラ 拝

    2019/12/05 00:43

    この度は、ご来場頂き有難うございました!
    今後も色々な意味で楽しんで頂ける、作品創りに励みます!
    また会場にてお会いできる事を楽しみにしております!

    2019/12/04 22:31

    latticeさま
    ご指摘恐れ入ります。
    民譚です。見落としていました。
    悪しからず、
            ハンダラ 拝

    2019/12/04 03:43

    「民潭」は「民譚」でしょうか。

    2019/12/04 02:48

    皆さま
    アップしておきました。
    ご笑覧下さい。
           ハンダラ 拝

    2019/12/04 02:11

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