猩獣-shoju- <東京公演> 公演情報 壱劇屋「猩獣-shoju- <東京公演>」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     べシミル! と言っても東京公演は本日で楽。また来て欲しい劇団だ。

    ネタバレBOX

     科白一切なし。殺陣と体術で見せる。作・演・主役の竹村 晋太郎さん、お見事! 音響、照明の良さも効果を盛り上げる。奥の壁に大きな墨絵が描かれているが、この墨絵も実に上手い。迫力のあるもので感心させられた。戦う一対の鬼のような異形の者(猩獣?)を描いてあるのだが、筆致が凄いのだ。
     科白が無い分内容はシンプルだが、それが功を奏している。物語は、村を襲い気に入った女を浚っては自分の妾にしている悪辣な集団に女を奪われ一旦滅茶苦茶にされた村に猩獣が現れ、傷ついた者を癒し、仮面を与えると、死んだと思われた男は、女を守ろうと自ら猩獣と化した。浚われた娘には相思相愛の男がおり、猩獣と化した男はそのナイーブなメンタリティー故に想いを告げることができなかった。最後の最後迄、このナイーブな男の秘めた念は念のまま、襲撃グループの四天王を総て討ち己も重傷を負って、助けた女に手向けた白い花は血潮に染まった真っ赤な物であった。ずっと彼の念に気付かずに来た女が、ここに至って遂に気付き相思相愛の男との板挟みに苦悶の表情を浮かべる下りも良い。
     悪党共のボス(庄屋)は、猩獣に手傷を負わされ逃げ戻った3名のうち、布を操り奇妙な体術を使う女以外は散々に打ち据える。可也冷酷な男だが、戦いの核心を為す四天王の術を紹介しておこう。最強の戦士は居合いの達人でもあるような剣捌きをし、体を回転させながら打ち込む戦法も示現流のような凄みをみせる。一人は大長刀の使い手、柄の部分を背中に回して縦横無尽に繰り出す闘法は手ごわい。一人は数十㎝の切っ先鋭い山刀のような武器を二本用いながら、巧みな体術や手下共に操らせた梯子を用いて高所、梯子の間、梯子の天辺に反り返った体制からの攻撃等、スピードと思いがけない攻撃で油断がならない。猩獣と化した男は、村の仲間共々娘を救おうと躍起になって戦うが、敵もさるもの、仲間を独りずつ四天王の補佐として付け猩獣を襲うシーンもあるのは、無論、そうしなければ女や他の囚われた仲間の身に害が及ぶからである。幕が上がってから最後の決着がつくまで殆ど殺陣のシーンの今作、物語のシンプルだが訴求力のある内容と殺陣、体術の見事さで飽きさせない。拍手が鳴りやまなかったのも当然だろう。

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    2019/10/14 21:50

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