リタ・ジョーのよろこび 公演情報 劇団俳小「リタ・ジョーのよろこび」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     根深い対立を見事に形象化。日本人作家では此処まで書けまい。原作者はウクライナ系ということであった。(追記2019.9.25 02;41)

    ネタバレBOX

     北米のインディアン居留地に住むリタは、車で2日ほど掛かる所にある街へ出た。父は酋長で沈着冷静な判断とその穏やかな性格で白人と門題を起こすことも無く過ごしてきたが、無論街へ出れば白人の天下。陰湿な差別と差別を根底に作られ機能する白人優位社会の構造的暴力によってネイティブ的価値、文化は否定され個々のインディオたちは己の名すら呼ばれることがない。無論差別している側は自分達が差別しているということの根底を意識できないから、例えば就学時にネイティブの文化に根差した価値判断や文化的事象に絡む質問を児童たちから受けても、その質問の意味する所を捉えることができないのみならず、自分達が習慣化してきた宗教や文化を唯、押し付け、それが拒まれるや無能で野蛮だから理解できないのだ、と結論付けて問題視するのみである。本来、先住民の「もの」であった土地を奪い、個々の白人個人の私有地として分捕って自分達の作った法によってその所有を正当化し、其処から多大な利益を上げ、更にネイティブに対する支配力と収奪力を強化している。ネイティブ達の伝統的社会に金や金融に関するシステムが在ったか否か、(恐らく100%ない。あったのは、恐らく交換価値に対するイマジナリーマネーのようなものである)また土地の私有制に関して明確に描かれていないが、ネイティブアメリカンには、土地を私有するなどという愚かな観念は無かった。言って置くが今作では描かれて居ない資本主義体制そのものの矛盾が、また近代国家の問題点がホントは提起されていると見ることさえできるのだ。描かれているレベルへ戻ろう。
    街へ出れば無論其処は金融が支配する世界である。と同時にネイティブとは異なる価値観、世界観に裏打ちされた法体系、更には植民の尖兵として機能してきた宗教勢力による道徳律の改変が押し付けられている。様々な相への徹底した階層化は無論、収奪をより功利的にまた誤魔化しやすくする為に機能しているに過ぎない。現在を生きる我々に引き付けて言えば、ネイティブの位置は物理的暴力装置、即ち軍や警察、国民に向けられる戦車、装甲車、催涙弾、銃器、警棒、不当逮捕と拷問、拷問後の獄死、更にはアメリカが後ろ盾となって中南米諸国で行ってきた、飛行機からの落下傘無しでの突き落とし等々の虐殺行為という力に、その高い精神的文化によって勝てなかったことのみである。
    而もこのような社会分析や構造分析、自分達の立ち位置と白人社会との正確な関係評価をする力、それを為さしめる高度な教育を殆どのネイティブは受けておらず、このことが、彼らに無効な反抗のみを促すという悲喜劇を、そして徹底的な社会の分断構造を描き出している。それは、ネイティブが、これだけ不利な状況にも拘わらず支配層と決定的に対立する姿勢として描かれている。このレベルが日本の作家には描けないと言っているのだ。日本人よ、括目して世界を見よ、その上で己の進むべき道を選べ。こんな基本的なことすらできなければ、我々日本人に未来は確実に無い。             

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    2019/09/23 10:48

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  • 皆さま
    少し、追記しておきました。
              ハンダラ 拝

    2019/09/25 03:29

    皆さま
    少し本音を書いておきました。
              ハンダラ 拝

    2019/09/25 02:41

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