八月のモンスター 公演情報 甲斐ファクトリー「八月のモンスター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     様々な問題を抱える4人の男女が、何とか自分の抱える問題を解決しようと申し込んだのは(1回目追記2019.9.22 01:17)

    ネタバレBOX

    所謂自己啓発センター。三日間泊まり込みで専門のトレーナーのカウンセリングや自己啓発プログラムを受けることで、自己変革を遂げようというものだった。
     トレーナーは大手でも剛腕として知られた著名人。1年前娘を鉄道事故(遺書があった為自殺とされたが、父は疑いを持った)で失くし、自ら疑念を晴らす為に事故現場に立ち、事故を見た人を探し続けた。
     トレーナーは大手でも剛腕として知られた著名人。1年前娘を鉄道事故(遺書があった為自殺とされたが、父は疑いを持った)で失くし、自ら疑念を晴らす為に事故現場に立ち、事故を見た人を探し続けた。
     漸く事故現場を見たという人に巡り合い証言を得た父は、事情を告げて現場を写していた防犯カメラの映像を見せて貰い、娘が救ったという人物を特定した。
     さて、今回このセミナーに参加した4人は以下の通り。自分のことを話す段になると緊張のあまり、呼吸困難に陥る男、自らの意志を持たぬかの如く他人の求めに応じてしまい乍ら、実は自らの体験した実父による小学校以来のレイプのトラウマと覚せい剤を局部に擦り込まれて自ら求めるようになったことを恥じる己、為に魂の奥底に秘密として隠したことが嘘を吐き続ける己という核を構成して肥大し続けるキャラクターを悩み抜くうら若い乙女。アルコール依存というよりハッキリアル中で妻子に逃げられたのみならず、そのような体験から逃れるにもアルコールに溺れる他、術を持たぬ男。セックス依存症ではないかと悩む女、である。物語りの中核に据わるのは、無論最も過酷な体験を持つ二人、即ちトレーナーと長距離トラック運転手だった実父にレイプされ続けた女である。この二人の接点こそ、自殺とされた娘の鉄道事故であった。父が疑った通り、娘の死は自殺ではなかった。娘は、陰湿な苛めを受けていたが空を飛びたいという夢の通り、天使として顕現し亡くなったのだ。自らの魂を食い破り肥大してゆく嘘つきというイマージュに食い荒らされ、線路上で身動きできなくなった乙女を「生きて!」と叫んで猛進してくる列車から救った娘を彼女は「天使が現れた」と表現している。この科白の持つ重さを受け取るべきであろう。ただ、身代わりになって亡くなったトレーナーの娘に対する申し訳なさから、彼女は姓名を変え、職も変えて今ではビルの清掃婦として働いているのであった。これが、作品に描かれている「内実」である。だが、自己啓発セミナーに参加したとて問題が解決するハズは無い。問題が本質的であるということは即ち己自身の問題だということだから、他人の事例は参考にはできても本質的な解決にならないのは理の当然である。人間実存の根底にある距離と溝の深さはそんなに生易しいモノでないのは自明のことだ。一方、人間は極めて弱い。そして弱さを極めなければ、常にアモルフである。

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    2019/09/21 09:24

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  • 甲斐さま、皆さま
    第1回追記をしておきました。なるべく早く2回目も追記します。
                           ハンダラ 拝

    2019/09/22 01:23

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