ツノノコ、ハネノコ、ウロコノコ 公演情報 フロアトポロジー「ツノノコ、ハネノコ、ウロコノコ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     ディストピア作品であるが、エッジの効いた脚本、演出、演技、舞台美術、照明、音響に至るまで優れた作品。(追記2019.9.8 02;:15)

    ネタバレBOX

     時代はハッキリしない。近未来的ではある。極めて意味深長な作品だ。脚本もしっかりしており、舞台美術、演出、演技、照明、音響等何れをとっても上手いと思わせるシーンが多いし、科白と実際に演じられているシーンでの微妙なズレや小さな矛盾の仕込み方、解消の仕方、またタイミングも絶妙である。
     内容的にもハッキリ証拠立てることはできないまでも、如何にも現実に為されていそうな事柄が扱われており、ストーリー展開でも重要な部分で細部に迄注意が配られている他、極めて自然な展開は違和感が無い。観劇中は、今作の内容を追いつつ同時にかつて実際に起こったさまざまな事件(サブラ・シャティラ難民虐殺)やパンデミックではポリオワクチンもその起源として疑われ、現在も諸説ある(AIDS)などが直ぐ記憶から浮かび上がる。AIDS禍では加熱しさえすれば被害が防げたのにそんなに単純で簡単に実施できることすらせず、多くの被害者を出した非加熱精製剤による被害拡大。(この件の裁判も極めて怪しいと言わねばなるまい)他原因が熊本大医学部の研究によりハッキリ疑われ報告されていたにも関わらず対応の遅れと無視によって被害拡大を招いた水俣病を始め、これまた原因が疑われ多くの症例が明らかになった後も放置したまま被害拡大を招いたサリドマイド禍、等々、実験ではないものの官僚、研究者による人道的罪、さらには、患者をモルモット扱いしかしなかったことで有名なABCCとそれを継承した放影研等々、我が国の医療犯罪は枚挙に暇が無いことを鑑みる時、決して単なるSF的ディストピアには見えて来ない点で、今作は特異且つアイロニカルな秀作と言えよう。ラストも不死身の契だけが生き残り他の者は総て死に絶えていることでこの暗愚の国の滑稽な末路を示して面白い。今作の魅力はもう一つ。少女達のひたむきな生き方が、その真摯な姿勢にも関わらず、常に彼女たちの手に負えないレベルで嘲弄されるが如く機能するにも拘わらず、真っ直ぐに尚生きることを選ぶ姿勢の幼さが否応なく訴えかける異様なまでのリリシズムが、我々、観客の胸を撃つことである。

    2

    2019/09/06 11:50

    0

    0

  • 皆さま
    追記しておきました。ご笑覧下さい。
                ハンダラ

    2019/09/08 02:15

    皆さま
     アップしておきました。追記は早目にします。
                      ハンダラ 拝

    2019/09/06 11:54

このページのQRコードです。

拡大