丹青の新・牡丹灯籠 公演情報 深川とっくり座「丹青の新・牡丹灯籠」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     自分は幼い頃、深川の長屋暮らしをした経験がある為か、下町が好きである。

    ネタバレBOX

    ガキの頃は縁日と祭り、喧嘩神輿が大好きで良く出掛けたものだ。喧嘩神輿は死人が出ることがあった為禁止されてしまったのが残念で仕方なかったことを良く覚えている。権威や権力を笠に着る連中とマッポが大嫌いなのは、こんな育ちの所為かも知れない。何れにせよ、下町の人々の持つ温かさが好きなのだが、とっくり座作品にもこの下町独特の温かな人情がいつも滲んでいる所が好みなのだ。今作でも生き延びた新三郎が屑拾いをしながら没した船から落ちたおつゆ、おちよを地を舐めるように何年も探し、近隣の寺を回って無縁仏を調べた挙句見付からず、おちよの忘れ形見・おきみを育てながら20年を過ごした後、偶々、長屋の者が野ざらしになっていた白骨を供養したことから縁あっての再会となり、おつゆらの身の上話を長屋の者らが聴くに至ったものの、新三郎はご隠居との将棋の約束があって会う事が無い辺りのじらしも上手く、逢瀬の段になって直後に、あの世とこの世の定めに泣く泣く従わざるを得ない場面での命掛けの恋相手との別れ、親子の別れの痛切な痛みは胸を撃つ。この時の照明も実に良い雰囲気を醸し出していて感心した。役者陣のこなれた演技も良い。彼岸へ旅立つ刹那、おつゆがリクエストする兎の歌も何とも言えない間を作り出して効果的。

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    2019/08/17 01:11

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