小島弥太郎 槍襖仁王立ち異聞 公演情報 劇団東京ドラマハウス「小島弥太郎 槍襖仁王立ち異聞」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     謙信が女性だった、という説を実証してゆく物語。様々な資料を積み重ねて行く手法には中々の説得力がある。(追記2019.7.27)(華4つ☆)

    ネタバレBOX

     良いか悪いかの判断は読者諸氏の判断にお任せするが、弥太郎の死に様は、男の理想の死に様の一つではあろう。己も、相手の女性も共に初の体験で、偶々戦場で出くわした女子に乱暴を働いて大人になった十四歳の弥太郎の犯した相手は一つ年上の姫君であった。彼女にとっても初めての、生涯唯一の男、この男が自分を犯した申し訳に、もし何かの縁で再び会うことがあれば、彼はこの女性の為に命を的にして守ると誓ったのだった。
     初陣で大手柄を立て、その後も多くの武勲を立て、通り名迄得て勇名を馳せた弥太郎だったが、刈り取った首を売れなかった。余りに酷な様を目の当たりにしたことが原因だ。既に19歳になり戦場の悲惨は見て来た彼が、首を買い取った漢方薬の製造人が頭蓋をかち割った頭から脳を取出し、薬にする為の準備をしている所を見て仕舞ったのが彼が父の仕事を継ぐ気になった原因である。一旦、親の反対を押し切って武士になることを選んだ弥太郎が渡し守になろうと本意を翻したのだから相当のショックを受けたに相違ない。然し、父や母から世の中には裏と表があること、子供の頃は父母が立ちはだかって裏を見せないようにしていたが、父も戦に赴いた節には、首を売りその金で芋を買って弥太郎はそれを食べて大きくなったのだと諭す。言ってみれば、これが弥太郎が精神的に大人になるイニシエーションであったということになろう。更に言えば、父がこの漢方薬製造者を唐人と知りながら発言は決して差別的で無い点も注目しておきたい。
     何れにせよ、運命の出会いは上杉家のお家騒動迄待たねばならない。このお家騒動は長兄・晴景とその妻・妙による跡目相続問題に絡む謀反であったが七夕に催された本丸での上杉家女衆の集いは謀であった。ここで晴景夫妻は、跡目は阿虎に譲ると決めていた於虎御前以下、跡目を継ぐ者とされた阿虎、実権を握る母・於虎御前を含めて殺そうと企てたのだが図ったのは妙。然し於虎御前は後継と決めていた阿虎を先に逃がし阿虎の姉・阿亀と共に本丸に残って晴景の手勢を破った。一方、謀反を起こした長兄配下の者達に追われた阿虎は、弥太郎が船頭をする川辺へ至った。大勢の者が一人を襲うは卑怯と阿虎に助太刀した弥太郎に対し阿虎は「仕官せぬか」と問う。彼の活躍ぶりに剛の者と知りキチンと武道を知っていると見て名を問う阿虎に当初、弥太郎は今までの経緯から否と応えるものの、阿虎の述べる戦うことの意味は民の為であることを知り、彼女が陣に臨んで詣でた際に毘沙門天が降りてきて民の為に戦うのであれば庇護してやろうとの言を賜ったこと、自分の初陣の折、犯した女子であったこと、彼女はその後、疱瘡を患って顔半分にあばたが残り、女を捨てた。生涯たった一人の男がそなた・弥太郎であり、その時彼が吐いた言葉を繰り返されると最早従う他はなくなった。この運命の出会いから川中島での信玄との四度目の戦いで、彼女が月のもののせいで戦線を離脱せざるを得なかった際に彼女の退路を確保する為に槍衾となって立ちはだかった剛の者、今弁慶として男の死に様を見せた英雄として戦うシーンぇの隈取は矢張り迫力。彼の死後、年をとった弥太郎の父母が渡し賃を稼ぐことができなくなると、戦国時代であるにも関わらず橋を掛けさせて通行料を彼らの収益とし、弥太郎の妻が夫を失って難儀していると聞くと、体を戦で傷つけた家臣の侍と結婚させ生活に苦労が無いよう計らったりと細やかな心使いを見せたという美談付きである。史実にも謙信は人格的に高い評価を受けている武将である。品もある。近頃、ホントに品のある方が少なくなった。自分が子供の頃には、ホントに品のあるお婆様などが結構いらっしゃったものだが。
     ところで、今作には他にもしみじみさせられるシーンがある。謀反を起こした晴景夫婦を罰するに於虎御前は頭を丸めて出家することを命じた。命は助けたのである。裏切って自分達を殺そうとはしたものの、晴景は自分の子、そして妙はその妻であるからだ。男勝りの武勲を立てた武将でもある於虎御前という女性の、母としての愛の深さをしみじみ思わせる良いシーンである。

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    2019/07/26 12:38

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  • 高橋さま
     ハンダラです。
    コメント有難うございます。
    返信が遅くなって申し訳ありません。
    作品は、ホントに興味深く拝見しました。
    でも、史実でホントに謙信が女性だったら
    素敵ですね。
     ところで終演後、劇団の皆さんにお話した
    経済の話ですが、その後、本(公共貨幣・山口薫著:東洋経済新報社刊)を
    読み進めてゆくと、筆者は、複式簿記上に記載される様々な出納履歴のうち、
    法貨を除く要求払預金のみがバーチャルなので、滞ったり、消滅したりするという形で
    書いています。法貨とは国が流通させているお金ですが、要求払預金というのは、銀行が、誰かが借りてくれると、信用(担保などを預かって)し帳簿上で貸す金を作り出したもので実際のお金ではなく、あくまで帳簿上の数字に過ぎません。銀行には通常2種類の銀行があるので混乱し易いのですが、日銀のような特殊法人で発行する日銀券が恰も法貨と同じように流通させられているのは、ロックフェラーやロスチャイルドが大株主で支配権を行使しているからでしょう。(つまりインチキそのものをシステム化しているのです)因みにFRBも私金融機関です。この背後には、恐らくマルタ騎士団が居るだろうとの観測が為されていて、JFKもリンカーンもここに手をつけようとして暗殺されたと疑っていますね、(無論、著者は研究者なので明確な言い方はしていませんが。ちょっと高い本ですが図書館に注文して読んでみると面白いですよ)何れにせよ、先日は舞台の片付けもある忙しい中でしたから余りキチンと話せなかったので、ご興味ある方はこの本を読んでみて、とお伝えください。ちゃんとした経済学の本です。では、また。
    暑いですからお体気をつけて。
                                   机下

    2019/08/02 02:12

    観劇ありがとうございました
    柳沢教授のとんでも説(笑)の実証のため、あの時代の『今』を生きて参りました。
    見識深いハンダラ様のお眼鏡にかなうものになっておりましたでしょうか(>_<)ゞ

    時代小説のようなストーリーダイジェストもありがとうございます

    今後ともどうぞよろしくお願いいたしまする

    2019/07/30 10:16

    みなさま
    ハンダラです。
    遅くなりましたが追記しておきました。
    ご笑覧下さい。尚、金融関係の話、少し
    「翠…そして見知らぬ我が家」のレビューに
    書いてありますので、ご興味があればご覧ください。
                 

    2019/07/27 23:07

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