明日ー1945年8月8日・長崎 公演情報 劇団青年座「明日ー1945年8月8日・長崎」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    KAAT地点の当日と迷った末こちらに決めた。青年座らしい、新劇色濃い役者たちの立ち回りだが、「明日」という作品が持つ独自の構造ゆえ、リアリズムな時間がファンタジックな色を帯びている(生の演奏が貢献)。この題材の舞台化の一着地点を認めた。

    ネタバレBOX

    「明日」と言えば私にはまず黒木和雄監督の映画。青年座の舞台はその二年前に作られていて、折節に上演されてきたらしい。映画は学生だった私に実に新鮮な感動を与えた。長崎の原爆が投下される前日のある人々の平凡な、また切実な日常の場面を切り取っている。原作者井上光晴は現地取材し実際にあった事を小説に反映しようとした、とある。つまり未曾有の破壊兵器使用という歴史事実あってのドラマである。この構造が独自だ。史実にまつわるその周辺の話というのはよくあるが、「明日」に描かれるのは戦時下の「非戦争」的日常であり、これに徹している事で「明日来るもの」の意味が示唆される。「明日来るもの」を告発するドラマでありながら、完全に手段化された庶民の風景がそれ自体で感動を誘うドラマになったのは音楽、時計、回転舞台といった演出と俳優の微妙なバランスにありそうだ。どこかいじると崩れそうな風もある。
    外部の仕事が目にとまる小暮女史も本家で印象的な場面を作っていた。

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    2019/07/18 08:56

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