ざくろのような 公演情報 JACROW「ざくろのような」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     世界一のリチウムイオン電池開発に絡む買収合併と開発に関わったチームリーダーのヘッドハンティングに纏わる主筋を中心に展開する物語。例の実話を基にした作品ということができる。

    ネタバレBOX


     天才とそれを取り巻く凡人、秀才間のコンプレックス問題、妬み等の感情が渦巻くと共に独創的な発想や型破りな才能を潰すことしか考えない日本的体質と、実績のみで自由を守りぬく天才を知り、天才を活かす術を持ち、歴史的にも様々な基礎的発明や発想を為し、人類に貢献してきた民族との差も出ていて面白い。実際、自分の周りにも日本で賞を獲ったりして学会誌に名が載り海外から注目されてヘッドハンティングに応じ、二度と戻って来ない知人が何人も居る。そりゃそうだろ、日本に居たって面白いことなんぞ、一つも無いのは重々経験して来た訳だから。他にも語学が堪能で海外で友人を創れる日本人なら一人の例外も無く海外に住みたがる。それは当然のことである。
     実際、海外のエージェントからオファーを受けるとその条件は頗る良い。給料は年俸で日本の最低倍、2.5倍程度のものが多いようである。これは少数の人の経験値だから一般化はできないが、まあ、この程度は当然だろう。その他の待遇(休日、様々な保障、居住等)も下らない縛りが無くビジネスライクに仕事が出来る点でも、居心地は良いようだ。欧米の外資系で働いたこともある人なら、コンプライアンスについても従業員に対して日本の企業のような誤魔化しをしないことは良く知っているハズである。(良い例が労災)そして、一番良いことは能力主義で評価されることだ。日本では、バカが上司でも馬鹿の命令に従わなければならないことが大半なのだが、こういうナンセンスが無い。
     上に挙げたような事情を含め、語学が出来、キチンと国際社会の常識を弁えて外国人と友達づきあいが出来、合理的な思考をすることが出来、食べ物・飲み物の問題が無く、宗教的な問題も無く、且つ家族関係の調整が出来るなら、海外で働き生活することには頗る大きなメリットがある。
     今作では、上に挙げたような状況の反映を日本の典型的会社社会VS国際社会として描く訳だが、勝負は最初からついている。合理性に勝る方が勝のは必然だからであり、それを支えるのが人間の自由に対する態度であることを考えれば答えは自ずから見えてこよう。
     キチンとこの辺りを押さえた脚本の良さに舞台美術の合理性が優れているが、残念な点が一つ。箱が大きいので天井タッパも高く、面積も広いから役者の科白が場合によって届きにくい。この辺り、演出がもっとしっかり駄目出しをするか、どうしても声が届かないようならマイクを用いるということも考えて良いのではないか。折角の優れた戯曲が観客に一部でも届かないのは口惜しいではないか。
     無論、外資系は能力が無いとなれば、容赦は無い。その辺りもビジネスライクだが、こういう厳しさは当然のこと。その為、余暇の時間の使い方が大切なのだ。日々勉強、その意味では休む暇など無いが、それが楽しければこれほど面白い人生はない。

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    2019/05/30 11:58

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  • みなさま
    楽まで走って下さい。自分は楽しめました。
                   ハンダラ 拝

    2019/05/30 12:08

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