演劇♡顧問 公演情報 神保町花月「演劇♡顧問」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     全国高等学校演劇大会東京地区予選各賞受賞も決まった後の評議員を交えた慰労会会場は、行きつけの飲み屋が舞台だ。
     どうして行きつけになったのか? 他店に出禁を食いまくっていたからである。

    ネタバレBOX

    というのは、メンバーは個性派揃い、侃々諤々の議論は空を切り、風に舞って他の客たちに迷惑を掛けまくってきたのである。基本的に参加者は高校教師と演劇大会評議員という立場だから世間から見ればオカタイヒト達であり、何かと見識だの常識だのと人目が煩い。だが、コンペである以上、受賞校ともなれば、顧問としても鼻が高いし評価も上がる。何よりなんだかんだ言っても皆演劇好きである。その為、主張にも身が入り過ぎて大声で自己主張し合うということにもなる。結果の出禁であるから、ある意味勲章ですらあるのかもしれない。何はともあれ、芸人と役者のコラボというのが面白い。芸達者が多く間の取り方が上手い役者が多いので笑わせてくれるし、本来の役者と芸人の役作りの微妙な差や、吉本でメジャーを目指す芸人と小劇場演劇の役者達のプロ意識の差が現れている点も面白く拝見した。ちょっと誤解を招きそうなのでもう少し詳しく書いておくと、作品で描かれているコンペは、同時に演技している役者・芸人の役作りの差と方法論の差、TVという媒体を意識した役作りとメジャー志向よりも寧ろ演劇というジャンルの魅力に取り憑かれて役者をやり続けている小劇場演劇の役者陣との目指す方向の差のようなものが出ているように思ったのである。
     どんな表現にも共通していることではあるのだが、表現する当事者達の意識に“観衆に使い捨てされる”という切迫感がどれほどキリキリと突き刺さっているかという点では、今作のように類似・異種の表現者が同じ舞台で同一作品に参加しているという形は実に刺激的であった。
    物語りに描かれる才能評価に対する妬み、嫉みや、発表作品が高校生演ずる演劇として相応しいか否かという世間や「良識」との関係、作品と実生活との関係と作品化することの極めて内的・微妙な位置関係、かつてと今の彼我の差の中で遷移してゆく1行の意味「お前、馬鹿だな」は最後に最高の褒め言葉であると同時に共感の最たるものとなっている点も良い。

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    2019/04/30 14:51

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