男亡者の泣きぬるところ/女亡者の泣きぬるところ 公演情報 ニットキャップシアター「男亡者の泣きぬるところ/女亡者の泣きぬるところ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    【CoRich舞台芸術まつり!2018春】最終審査に残った10公演のうちの1つ。その前評判通り本公演は確かに面白かった。「男/女の亡者の泣きぬるところ」ではあるが、どちらも亡くなるではなく、前向きに生きていこうとする人生再生というか再出発するような物語。
    この団体は「こんなにもお茶が美味い(東京公演)」以来、久しぶりに観劇した。本作は場所・時間が限定された緊密・濃密な設定であるが、観せ方はポップ調で楽しんで観られる。
    (上演時間2時間15分 途中休憩15分)

    ネタバレBOX

    「女亡者の泣きぬるところ」(上演時間1時間)
    舞台は一人暮らしの女の部屋...中央にベット、卓袱台、やや上手に整理BOX、ハンガーが置かれている。その横は出入口になっているが、奥にキッチン・玄関があるらしい。
    梗概、この部屋の住人(女①)と闖入者(女②)という女2人(共に33歳)芝居。彼女たちは人生に疲れ、生きる気力を失っているという共通した思い。現代日本が抱える問題を身近な生活を通じて描いた佳作。女①は15年間非正規職員の店長として働いてきたが、自分より後に入社した正社員の方が待遇がよく出世していく。彼女を上手く利用する先輩(登場しない)が今の悪労働環境を象徴する存在として描かれる。一方女②は、個人養鶏場の娘として働いていたが、母の介護や父親との関係に憂いている。介護による自己犠牲的な思いが辛い。この2人が必然的に出会い狂騒の中で芽生えていく奇妙な心の触れ合いが見事に描かれていた。

    「男亡者の泣きぬるところ」(上演時間1時間)
    エレベータ内…現在と過去(いくつかの時代)を往還して展開する男2人芝居。基本的には素舞台であるが、上手・下手に着替え用のスペースがある。よく見かけるエレベータの故障という設定。2人の男の何気ない会話から紡ぎ出された数奇な運命は、現在と過去を往還するごとにシーソーのように気分が上がったり下がったりする可笑しみ。それは生まれた時から定められた運命であろうか?男優2人が少年や学生になり、その時々の悲喜交々とした心情を上手く表現している。「女亡者の泣きぬるところ」に比べ社会性というよりは人間性に重きを置いた物語であろう。

    「男・女亡者」は共に何かに取り付かれたようだが、観客(自分)にとって描かれた内容に比して明るく元気をもらえた好公演であった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/03/31 22:05

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