満足度★★★★★
まるで秘密基地、地下へと降り通路を通り抜けて、目の前に出現した会場は、
舞台スペース、広っ!まさに「キャンプ場」という異空間。
スタッフさん(後に役者さんと判明)の誘導を必要とする手間をもっても、徹底したこだわりを優先させる姿勢が思いっきり楽しい!
キャンプ場に続々と集まってくる慣れ親しんだ仲間達を観客が取り囲んで観る舞台。
一歩踏み出せば自分も参加できそうな空間。
そこは都会の喧騒から遠く離れた「特別な場所」であり、不便とリラックスを楽しむ人達が創り出す空気が程よく流れ込んできます。
最初のうちこそアウトドアの空気感や都会から持ち込まれた会話を参考に登場人物達を傍観する面白味をじっくり楽しんでいたものの時折ピリッとくる緊張感のせい?徐々に作品の奥部へと引きずり込まれていく不思議な感覚に。
冷たい風が吹き抜けていったような錯覚。
本物の炎は当然使用されていないにもかかわらず、まるで闇夜を妖しく照らす炎の魔力に一緒になって惑わされてきた後味が残ります。
パンフレットに掲載された「銭亀の滝キャンプ場」MAPだけを取っても、どれだけ練りに練られた賜物であったか想像に難くない作品であり、その手腕の流れにただただ身を委ねられる幸せ。
キャンプ場を舞台にした人間模様を臨場感たっぷりに鑑賞する作品であったとしても満点な質の高さでしたが、更にその先・・・炎の奥に見えたモノ・・・作者の内面世界にまで引き込まれてしまったかの様な体感を得られるなんて、うなされるにも似た燃え広がっていくミステリアスな時間、まさに身をもってゾクゾクっとしました。