29回公演 フェードル 公演情報 うずめ劇場「29回公演 フェードル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    久々のうずめ劇場舞台を堪能。後藤まなみ、松尾容子、荒牧大道(藤沢友は相変わらず裏方)に、今回サルメカンパニーという若手グループが加わっての上演だった。
    会場の東京アートミュージアムは細長い敷地に建てられた安藤忠雄設計の建築で、名前は洒落か?と思う位狭い。内部は「ああ安藤忠雄」と思わせるコンクリート打放しの内壁、中央あたりに細長い階段が壁に貼り付いてくの字に聳える。座席は入口から遠い側の奥に、横5~6人、5列程度設えられ、舞台の側には手前左側に伸びる階段と、それを避けて奥へ行き左側へはけるのと、出はけは2パターン。階段下あたりにはピアノがあり、時折役者がそれを鳴らす。「フェードル」はギリシャ悲劇を題材にとった17世紀の古典(発見されたのが近年だったか)、血の因縁にまつわる悲劇。主人公フェードルの「過ち」が彼女自身を苛み、若者らの残酷な死さが追い討ちを掛けて狂気に埋もれて行く猶予の時、吐かれる怨念、後悔、自己正当化の言葉が「劇的」を醸す悲劇の構造だ。暗鬱なクライマックスを体現する後藤まなみ始め俳優はよく演じていた。馴染みのない人にはストーリーが判りづらかったかも知れず、かく言う自分も判らなかったが類推しつつ「激情」の迸りを楽しんだ。
    上演2時間、場所と演目の取り合わせもユニークで、土日中心にロングランの形態もいい。コンクリが石造りの劇場にも見え、ギリシャ悲劇が連想されたと推察した。ヨーロッパの主流であるレパートリー方式を引き寄せた感じだが(主宰のペーター・ゲスナー氏の問題意識は判らないが)、狭小空間で少数の観客という所は日本独自。借景芝居の宿命でも客としては贅沢感があってよい。会場の閉館時間を有意義に(廉価で)使えるなら、場所に根ざした事業として今後も継続して行ってほしい。

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    2019/02/18 08:47

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