満足度★★★★
いくら作者がこれはフィクションと言っても、歴然としたキワモノである。それが成功して珍しく補助席もでる大当たり。テーマが現代社会の倫理を打っていて面白いのである。
こういうものは手の内の作者らしく、主人公の設定を弁護士の去就に据えて、犯人の性格付けもうまく、周囲の人々も、冷酷派、人情派とうまく散らしてサスペンスのある展開になっている。80年代に山崎哲の転移21の犯罪シリーズを思い出した。犯罪は世相を映すから、時代瓦版の演劇には欠かせない。キワモノと言われようと、臆せずにこの罪と罰でもどんどんやって欲しい
残念なのは、力演の俳優さんには申し訳ないが、みなさん演技スタイルが古い。五十年前の新劇三劇団風で、これではひとり犯人役の役者ががんばっても現代の風は吹いてこない。