時代絵巻AsH 特別公演『水沫〜うたかた〜』 公演情報 時代絵巻 AsH「時代絵巻AsH 特別公演『水沫〜うたかた〜』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     特別公演の第三弾。舞台レイアウトは、この劇団の基本形。客席からの出捌けもあるので、ちょっとダイナミックだ。(華5つ☆)観るベシ!

    ネタバレBOX

     Ashを率いる灰衣堂 愛彩さんの脚本は元々光っていたが、鬼や将門を描いた辺りから、殊に人口に膾炙した人物像よりは、様々な下調べに基づく独自に解釈された人物造形や歴史観が強く息づくものになったような気がしていたのだが、今作はこれらが更に円熟味を持つレベル迄深化・進化しているようだ。
     というのも源平合戦に至る時代の過酷な精神状況を描き、日本を代表する叙事文学「平家物語」を産んだ悲哀の歴史の酷いまでに仮借の無い姿が、人間というちっぽけな存在に襲い掛かる様を俯瞰と仰視双方から観て対置させ、自然で躍動的なドラマツルギーを成立させているからだ。
     また、リーダーを描くにはリーダーとして持たねばならぬ資質をキチンと描き、敵対する者らへの対応や、保護すべき者らへの悠揚迫らぬ態度を描くことによってその器の大きさ、温かさなども自然に納得させるのだが、この手際が素晴らしい。
     演者達も、作家の意図を良く汲み的確な役作りをしているが、この劇団の良さは厳しい状況の中にある登場人物達が、それでも前を向こうとし、友情や信義を重んじて人間として生きようとする根源的な姿を描いているからであろう。今作の直ぐ後に描かれる次回作も楽しみだ。

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    2018/12/07 11:59

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