第23回公演 『福笑いふく子ちゃん』 第24回公演 『cmd+z(リトライ)ダイアリー』 公演情報 劇団天然ポリエステル「第23回公演 『福笑いふく子ちゃん』 第24回公演 『cmd+z(リトライ)ダイアリー』 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     2作品同時上演企画第六弾“ヒミツの幸せシリーズ”と銘打った今回の天ポリ公演「Cmd+Z
    ダイアリー」を拝見。(華5つ☆)少し追記2018/10.31

    ネタバレBOX


     凄いのは劇中、タイムパラドクスを明らかにした上で、これを歴史の不可逆性を一切変更しないという初期の目的とは真逆の方法で切り抜けると共に"苛め“という現在最も深刻な問題を通じたドラマの齎すカタストロフィーによって見事にアウフヘーベンして見せた点にある。こうして解を出されてみると、問題解決は、これ以外に無いように思えるのである。この落とし所をこのように設けた所に、この劇団の上手さがある。下北に定着しつつある現在、次に目指すはスズナリか本多劇場辺りだろうか。
     小道具のチョイスと使い方もグー。先ずは、葉子の読んでいるHGウェルスの「タイムマシン」。彼女がHGを略さずに発語している点にも細かい配慮が感じられる。また読書好きの彼女の名“葉子”は言の葉に通じ、ネーミングにも無論意味がある。芥の姓は作中でも触れられている通り、芥川 龍之介に通じ、精進は彼が勝ち組になる為に費やした努力そのものだ。3人娘或いは3博士の筆頭、看板女優のやんえみさんの持っている扇風機や時を刻んだタイムマシンも、駄菓子屋風玩具を用いることでチャラケを演出しつつ、庶民感覚とキッチュな感覚を醸し出し、板上に居るだけで桁を外すことのできる彼女の特性を見事に活かしている。至る所に仕掛けられたこれらの歌舞く技術の高さは、殆どの観客が気付きもしない所に凄さがある。このような小道具とマッチしているのが舞台美術だ。中央奥から手前に迫り出す棺桶のように設置された大きな函その左右に斜めに設えられた階段、左右の壁を形成する衝立と中央の段差との切れ目が出捌けになっているだけのシンプルな作りで、色合いも地味なので、役者陣の衣装ややんえみさんが背負っている可愛らしいバッグが引き立つ。一見、ゾンザイやだらしなさと紙一重の所を計算し尽くして作られているのだ。
     大事なことをもう一つ追記しておこう。葉子の科白に芥を通じて友達ができる迄、彼女は孤立していた時、どんなことを言われようが大丈夫だと考え、そのように生きて来たことが語られるが、恋をし、友を持って初めて、独りになることが怖くなったというような内容の科白があった。このリアリティーの深さは、真の孤独を知る者にしか書けないし理解できない。何故なら、真の孤独とは己が独りであることさえ認識できない一人ぼっちなのであり、即自存在と対自存在が分かれる領域だからだ。サルトルの実存がハイデガーの実存によって救われた部分であるということもできよう。
     新たなシリーズで今後も大活躍しそうな劇団、期待している。

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    2018/10/30 11:51

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  • 山東あみ さま
     コメント有難うございます。
    また、楽しいひと時を共有したいと
    思っています。
               ハンダラ 拝

    2018/11/26 11:52

    大変に遅くなりましたが、ご来場ありがとうございます!
    感想ありがとうございます。追記までしていただいて…!嬉しいです!
    また来年もお会い出来ることを祈っております^ ^

    2018/11/26 09:10

     評判いいですね。良い作品ですものね。少しだけ追記しておきました。
                               ハンダラ 拝

    2018/10/31 18:46

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