おとながたり 公演情報 ハグハグ共和国「おとながたり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     地元では、子供たちの憧れと好奇の対象として有名な士岐の館、何でもホテルとして生まれ変わるとのことで、モニターを募集中、同窓会を企画していたグループがその募集に応募する。(追記2018.9.24 23時11分)

    ネタバレBOX

    そこで起こることは参加した誰かの記憶を生きるヴァーチャルリアリティーの世界だった。
     物語は、売春防止法成立施行直前の老舗妓楼、士岐屋で展開する。前途の展望も持てず、皆の前途に希望らしい希望も持てないままその篤い人情経営と苦労人たちの優しさで何とか世知辛い世の中を過ごしていた遊女たち、男芸者、男娼、更には目利きの女衒に絡む因縁取り混ぜての深い人情噺。何よりここで働く女性の描かれ方が、単に同情すべき対象として安っぽく描かれていない点が秀逸。ひょんなことから主に拾われた若者は2人の妹を連れていた。下の妹は具合が悪く体力が落ち、咳も気になるが医者にかけてやる金もなくズルズル来てしまった。そこで人情に篤いこの妓楼の主にちょっかいを掛けて自分達が転がり込んだという寸法だ。ところで主、漢気を見せてこの子供達の面倒をみてやることにした。若者は自身の傍に置いて様々な仕事を仕込む傍ら、自分の趣味のベースボールの相手もさせる。この主と彼の妻の優しさが妓楼の危機をも人間的で優しさと思いやりに満ちたものにしている。一方、この妓楼の大姉御は元吉原の遊女だったのだが、名うての女衒と恋仲になり子を為していた。その子が、今預かり体を壊している幼い少女であった。この因縁話、定石とはいえ矢張り強く心を撃つものがあるのは、脚本の随所に見える深さ故であろう。同時にこの作品のテイストを良く引き出した演出とそれを具体化・身体化した役者達の努力に負う所が大きい。
     だが、因縁話はこれのみではない。妓楼で亡くなった少女の姉は教師を目指していたのだが、目出度く自分の夢を叶え、校長にまでなっていた。それが、この度、士岐屋に訪れた当にその学校の長だったのである、というオチ迄ついているのだ。

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    2018/09/24 07:18

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