寒花 公演情報 ハツビロコウ「寒花」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     舞台中央に横長の机、机上には石油ランプ。左右及び奥に椅子が各々1脚ずつ据えられている。下手壁には、模造紙の上段中央に「安」と大書された文字、その左右と下には罫線が引かれ、「安」の字を囲むかのようだ。この模造紙の奥からやや右斜めと上手のシンメトリカルな位置に奈落がある。(華5つ☆追記後送)

    ネタバレBOX

    上手壁際にはバケツが置かれ、舞台中央の客席側には料理に用いる寸胴のようなかなり大きなものがあり、湯気が立っている。暖を取る為のストーブと考えてよかろう。
     模造紙に書かれた「安」の文字は伊藤 博文を殺害した安 重根の苗字である。左右には、独居房下にも独協房があるのだが、安の左側は及び対面には、看守が、そして右側には、これまで獄卒に協力してきたことで模範囚とされている囚人が入り安を監視している。安の独居房は3寸の厚さの板を重ね、釘、ねじなど他の物を加工することが可能になるような金属類は一切入手できないようになっており、天上付近には24時間監視が可能なように天窓を加工し頑丈な鉄格子を配して電燈が灯されている。而も安を拘束する手錠には鍵が無い。一旦取り付けてしまえば、手首もろとも切り落とさなければ外せないという代物だ。開演早々、この図面に対する説明があって、事件のあらましと安に対する日本の態度が分かるという寸法だ。而もこの監視体制わざと一か所だけ空き部屋を設けるという念の入れ様。
     この図面の説明で今作のアウトラインが伝えられた後、安と隣接する模範囚の居る独居房は上手奥のコーナー辺りに設けられ鉄格子に捉えられた一角として描かれる。この導入部の展開が実に上手い。

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    2018/09/12 10:31

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