女人嵯峨(にょにんさが) 公演情報 劇団俳小特別プロジェクト公演「女人嵯峨(にょにんさが)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     三筆が活躍した平安初期は、橘氏と藤原氏の最終決戦の時代でもあった。

    ネタバレBOX

    桓武天皇は既に老い、弟の怨霊に悩まされて病の床にあり、相続問題が持ち上がっていた。どんな独裁制にも言えることだが、頂点に立つ者の資格を血に求める場合、その権力継承基盤の正当性順位は、正室の長男に負わせることが多い。貴族の出世競争に於いても、この頂点からの親疎によるものが大である。同等の近さであれば、あとは権謀術数に長けた即ち政治力に勝る者が権力者として機能する。藤原氏が摂関政治というシステムを作り、幼い頃から天皇を補佐するという形で実権を握っていた事実は、誰でも知る所だ。今作では、この権力闘争に藤原側、橘側各々の女性が関わって肉親の愛憎問題と歴史の生々流転との無常が紡がれる訳だが、為政者の徳によって治世の質が決まると考えられていた当時の世相を示す為に、仮面を被った群衆が登場する。ギリシャ劇で言えばコロスに似たような役割だろうか。だが、この部分が非常に弱い。仮面も韓国の「タルノルム」で用いられるような、泥臭く、如何にも民衆の苦悩や苦境を表したものにすれば良いのに、平板で何らインパクトの無い物を用いているし、演じられる動作などにも重みが無く、表現として浅すぎる。
     また、空海の経文もオープニングで用いられるものは、フレーズを繰り返すだけの単調なものだ。経文は数多くあるハズ。実際に有難い経を唱えているのかも知れないが、演劇的効果を考えこういう点にも注意を払いたい。
     板上は、上手、下手とも側面から各々巾の異なる緞帳を床まで下げて3層に、其の奥には板全体を横切るように赤い平台を階段状に2段重ねてある。更に奥の壁には、連なる山並みが描かれている。この舞台美術を適宜、スモークや照明で効果的に用いていて、照明が見事である。

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    2018/07/19 12:23

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  •  ベテランの演技は良かったのですが。
                ハンダラ 拝

    2018/07/19 12:25

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