ホテル・ミラクル6 公演情報 feblaboプロデュース「ホテル・ミラクル6」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     シリーズ6作目となると流石に様々なことにチャレンジしていて、その点を高く評価したい。勇気のある試みだと思うからだし、このような精神が無いと発展が無いと信ずるからだ。(この点を考慮に入れて☆5つ)作品個々の内容については、楽日以降に追記する。追記2018.7.11

    ネタバレBOX

     板上、基本的な舞台美術は共通で、作品により、七夕の飾りつけがプラスされる程度だ。脚本は、前説を兼ねた「ホンバンの前に6」を構成・演出と今回は出演もある池田さんが1本。以下本編、上演順に。「ビッチの品格」(劇団人間嫌い)の岩井 美菜子さん、「ホテル・リトル・ミラクル」(Straw&Berry)の小西 耕一さん、「かっこ悪いオトコ(悪)」(あんかけフラミンゴ)の島田 真吾さん、「最後の奇蹟」(劇団肋骨蜜柑同好会)のフジタタイセイさんの4人がそれぞれ執筆している。オムニバス形式の上演だが、各作品、趣味趣向が総て異なりタイプの異なる具材でつくる寄せ鍋とか、コース料理のようで、チャレンジングな精神を示してもおり面白い。各作品の詳細は、楽日以降に書く。
     取り敢えず、舞台の見取りを記しておこう。
    客席は舞台を“」”で半分囲う形だ。底辺側から見て、下手壁際が出捌け口、入ってすぐ右側が上半分スモークガラス風になった小スペース。シャワールームなどとして用いられる。室内正面奥に真っ赤な革張りのソファー、下手壁際には、丸テーブルの前後に椅子が1脚ずつつけられ、壁面にハンガーが掛かっている。上手には底辺の客席寄りにWベッド(枕は客の側)その下手には2段になったサイドテーブル。上段には、真っ赤な電話器、下の段には、ランタン風の灯りとティッシュが置いてある。更に下手には、冷蔵庫。以上が舞台の設えだ。
    「ビッチの品格」:ラブホで女子会という設定が面白い。まあ、「大枠がラブホだから」を言っちゃ、お終いだが。ところで、実際、男が居ない場所での女子の話というのはかなり愛の行為についての話が多いのも事実だ。未だ北欧に余り日本人の男が出掛けて居なかった時代、日本人というだけで矢鱈、北欧女性にもてた時期がある。これも、実体験のある女性の口コミが原因であった。女性は、1日2万語ほどお喋りするそうだ。対して男は7千語、男3人分を1人で賄う訳だから、噂噺は累乗倍で広まる計算になる。ネズミ算であれだけ凄いのだから推して知るべし。作品では、このような話が中心になる女子会で、では、愛は? の話になるのだが、サシの関係では力関係で負ける女子は、従属的だと認識する場合が多いから、其処に生まれる複合意識が複雑である。結果、愛の形によっては、自らの位置が社会上の通念に於けるズべ、即ちビッチであるか否かで計られることになり、その結果、深く傷ついたりもする。このレベルでは、男も女も思想的な深みを持たないが、そのことの悲喜劇は起きる。
    「ホテル・リトル・ミラクル」:正統派演劇としての書き方では、今作と前説を兼ねた「ホンバンの前に6」が最も完成度の高い脚本と言えよう。現実世界と虚構との際立たせ方という点に於いて、極めて意識的であるから観客の知情意が実に微妙なバランスをとりつつ、現実と虚構の間を往還でき、大きな満足を売る事ができるからである。自分が演技で気に入ったのは、従業員、小川役の永橋さん、口寄せの際のパフォーマンスは秀逸! シナリオではラストのどんでん返しが素晴らしい。(眠っていた桃子)が憑代となって地縛霊となっていた女の本名を以て語り掛け、彼女が成仏できるラストに繋げた。伏線も直前に明かされるのだが、それは、口寄せを善意からしてくれる小川に対して偽名を使って偽情婦を伝えており(但し母の名は本名であった所が凄いのだが)世間の世知辛さを観客に納得させるような而もどんでん返しの効果を最大化させるような流れを作り出している。
    「かっこ悪い男(悪)」:カオティックな全体の中に個々のカオスが愛というキーワードの下に集結しているのだが、それぞれは愛を発信しながら。総ての愛がチグハグにすれ違う。互いにどうにかしようともがくのだが、いかんせんその方法がパセティックな為に交叉することもなく目的に辿り着くことも無い。その悲喜劇を描く。何故か肉だけがあり、頭脳を欠いた存在のパトス渦巻くカオス。
    「最後の奇蹟」:制御できない技術を持った人類が、地球を捨て新たな世界移住計画を立てた。今迄の総てを総浚えして新天地に出向こうと、地球をダメにした当事者、責任者達は、既に避難を終えているが、せめて全生命に対する責任を己の命に代えて果たそうとする者が庶民の中には居た。登場するのは、このプロジェクトに携わってきた下っ端技術者と買われた娼婦である。地球をご破算にする為に、月に強力な爆発物が仕掛けられ、月ごと地球にぶつかりに来ている。ぶつかる直前、死を前にした二人は無意味を十全に知りながら、熱い接吻をする。何とも切ないアイロニーではないか!? 哲学的、社会的には最もメッセージ性も高い作品。

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    2018/07/10 04:51

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  • 皆さま
    追記しておきました。
         ハンダラ 拝

    2018/07/11 11:59

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