裏の泪と表の雨_ 公演情報 BuzzFestTheater「裏の泪と表の雨_」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     釜の様子が良く描かれ、作品に深みを与えている。主役級のドラマは無論のこと、脇役キャラの設定も素晴らしい。(追記2018.6.26)

    ネタバレBOX

     舞台は愛隣地区といえば地元民ならだれでも思いつく、釜ヶ崎の一角にあるお好み焼き屋だ。板上には正面に畳敷きの客用スペース、お好み焼き用の鉄板のついたテーブルが2台、各々に座布団が4枚ずつ置かれている。上手手前には冷蔵庫、その手前を入った所が袖、袖の裏側辺りにトイレが設定されており、店内畳敷きの奥には、少し腰かけられるほどのスペースの奥に窓が左右1つずつ。室内上部には棚があり、だるま(未だ目が入っていない)、招き猫、神棚などが置いてある。
    下手、店のくぐり戸を抜けた辺りから側壁までが、街の様子を表現する為に労務者風の人物が、雑談や用足し、路上飲酒等々、釜の生活を表現する場所になっていて、今作にとって極めて重要な場所だ。
    店主は大学を出た後、2年勤めに出ていたが、店をやっていた母親が体調を崩したので一時の手伝いのつもりで店に入ったままずるずると続け、しょんべん臭いニコヨンの街で18年のうちに味の良い店としての評判と、個性的で魅力的な従業員たちの対応でかなり繁盛する店になっており、常連客もついている。
     ところで、今作、しょっぱなの話が、阪神戦ともっと大事な話として、お好み焼きをひっくり返す道具を何と呼ぶかの激論だという所が如何にも釜らしい風情を描いていて見事だ、つまりこの実に他愛もない話題から、釜の生活を象徴的に表している点も高い評価をすべきなのだ。無論、他にもこの「隠され見捨てられた街」の表象はいくらも出てくる。
     例えばこの辺りは社会インフラも余り良い状態とは言えないせいか、下水管が詰まって汚水が溢れだすということも大雨の時には起こりがち。街が臭いのは、単にドヤの住人が立ちしょんすることだけが原因ではない。地元で状況を良く知った地域職員が粉骨砕身の対応をしている一方、国や府からは忘れられたような街なのは、我々が毎日食べる野菜にさえ、独特の癖や特有の臭い、個性が失くなって久しいが、そのことに気付く人々が殆ど居なくなってしまったのと同じように、実体とイマージュに深い乖離があるのだ。それでも街も多少は「綺麗」になった。とはいえ、この有様だ。冬になれば、ドヤに泊まる金が無いばかりに凍死する人が居るのがこの街の実情であり、良いか悪いかの判断は兎も角だが。存在を色濃く主張しているのだ。そういえば、横浜の寿町、東京の山谷も現在ではすっかり様変わりしてかつての面影はない。が、ここ、釜だけは、未だに往事の風情を保っている。
     そんな街の生み出した人々の群像劇であり、ある種の褒め歌である。

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    2018/06/22 14:02

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  •  愈々30日から大阪公演ですね。地震の後だし、暑かったり気象が荒れたり
    大変ですが、皆々様のご健闘、ご健康、そして公演のご成功を祈ります。
                              ハンダラ 拝

    2018/06/26 23:18

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