満足度★★★★
照明、音響の演出が特徴的な舞台でした。蝋燭・ランプがメインの照明、全身に響き渡るような音響は、初めての経験でした。北極探索の冒険家の語りという形をとっている部分が原作とは違いますが、内容はほぼ原作に忠実で、照明・小道具などが200年位前のうすら暗いヨーロッパのイメージを、程よく醸し出していました。
原作では、2m超の異形の化け物として描かれていた創造されたものが、金髪の美形の女優さんが演じていたところが最初ちょっと違和感がありましたが、ラストに近づくにつれ、人間とは何か、男女とは何かという根源的な問題に悩む姿にマッチして、かえって物悲しくもありました。
語り口も現代風ではなくわかりにくい部分もあり、終始ほの暗い陰湿なムードの漂う舞台で、楽しいとか面白いとかといったものとは対極に位置していましたが、とにかく初めての体験でした。ただ正直、2時間超は少しながく、もう少しテンポよくてもよかったのではと感じました。舞台の雰囲気に明らかな変化がないので、途中から単調に感じてしまいました。
原作のフランケンシュタインを読んでから見ると、さらによくその世界観に浸れますので、事前のご一読をお勧めします。原作も古い作品だけあって、なかなか難解です。