寂しい時だけでいいから 公演情報 劇団フルタ丸「寂しい時だけでいいから」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     舞台はグレードの高い不動産物件の展示場。主人公は、この展示場のガードマンである。舞台正面がリビング。リビングの奥はガラス戸で向こうが見える。下手に上の階へ上がる通路。リビングのやや左手上階にガードマン控室。その下手が煙草などが吸えるスペースになっており、上手がこの部屋への入り口という間取りだ。この舞台美術も素晴らしい。側面の壁には、樹木の表皮で紡いだような如何にも高級感の漂う、落ち着いた壁が見え、調度もしっかりした作りの物が据えられている。(華4つ☆追記2018.6.19 01:19)

    ネタバレBOX

      寂しさという意味でも、マッチがキーポイントになるという点でも、「マッチ売りの少女」と似たテイストの作品である。然し、今作ではその寂しさを抱えるのが男、それも大の大人であり、この寂しさは単に個人の力量や判断違いが齎した結果であるというより、個人というものが成立する以前の精神状態しか持たぬ多くの日本人が、核家族化し、グローバリゼーションの齎した社会に対する防御も持たずに日々向き合っている現実との中で、じわじわと敗退していることから来ている点で大きく異なる。
     この心寒い状況を偶々警備の先輩から貰ったマッチを擦ると見せてくれた夢現が、彼をその一員として迎え入れた“家族”として立ち現れるという設定は見事である。何となれば実家にもずっと戻らぬ彼を、丁度、マッチ売りの少女が求めたぬくもりそのもののような幻影家族が、癒し、生きる喜びを与え、彼自身が生まれ変わったのであるから。ここには、単にDNA継承者でしかない乾ききって無味乾燥な「家族関係」ではない理想が具現化されている。このことによって、家族を構成する各々にとっては痛く、而も深い内省を強いるのである。

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    2018/06/01 17:05

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  • 少しだけ追記しておきました。
             ハンダラ 拝

    2018/06/19 01:19

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