図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの	公演情報 イキウメ「図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    鑑賞日2018/05/22 (火) 19:00

    座席K列20番

    2036年、2006年、2001年に一個ずつさかのぼって話を
    展開する連作短編集。イキウメっぽさが希薄なのは、
    それまでのどことなく漂ってた不気味さが消えているのと
    3話におけるメッセージ性がかなり高かった点だと思います。

    ネタバレBOX

    #1 箱詰め男

    脳科学者だった山田不二夫はアルツハイマー発症を機に、肉体を捨て、
    自身のすべての記憶を寄木細工状の箱に入ったPCに移し替え、精神
    だけの存在になることに成功。

    5年ぶりにアメリカから帰国した宗夫と対面するも、宗夫はPC特有の
    不二夫の機械的な受け答えに物足りなさを抱き、五感の中で意識と関りが
    深い”嗅覚”を外部センサー取り付けによって再生させることで、人間味を
    持たせようと画策。試みは成功するも、不二夫の態度には異変が…。

    2話目に出てくる兄弟の30年後が描かれています。また、3話目と円環を描く
    構成になっており、一番「らしかった」と思います。感覚を取り戻すことで、
    過去の記憶にさいなまれる不二夫(の意識)の苦悩ぶりは見てて怖い。

    #2 ミッション

    高齢者相手の死亡交通事故を起こし、2年の禁固刑を受けた山田輝夫。
    仮釈放を受け、元の職場にも暖かく迎えられるも、「事故当時、衝動に
    襲われ、ブレーキを踏まなかった。理由は分からない」と仲のいい同僚に告白。

    輝夫の主張は過激さを増し、自身が事故を起こし、相手を死なせたことで、
    その高齢者が未来において起こしたかもしれない災厄を防いだと訴え出す。
    自分を襲う衝動は、世界がさらなる不幸を未然に防ぐために下した使命なのだと…。

    3話目に出てくる職人志望の女の子の元恋人が同僚役で出てきます。ストーカー
    行為を起こして、接触禁止命令を受けたっぽい。

    この話は…前後2話とあまりテーマ的なつながりを見出せなかった(言い方変えると
    異色な)作品かな。輝夫が語る「使命」が結局何なのか、時間が短いせいもあって
    何とかオチ付けただけの不完全燃焼で終わった気がする。

    # あやつり人形

    就活を始めたばかりの由香里は母・みゆきのがん再発をきっかけに、大学中退を
    決意。1年交際していた恋人にも突発的に別れを告げ、就活のペースを落とし
    始める。しかし、その決定に対し、みゆきも、仕事の出来そうなサラリーマンの
    兄・清武も「由香里が後で辛い思いをする」と、その決断に反対するのだった…。

    先日の恋人に加え、みゆきが見た夢という形を取って、1話目の内容がリプライズ
    します。

    話によると、夢に出てきた科学者は家族の懇願により、永遠の生を生きることと
    なった。しかし、科学者は自身の命を長らえるスイッチを切るよう、やがて
    訴え出した…というのです。

    その話から、人が他人に向ける「優しさ」「善意」とは、相手を追い詰めている
    「他ならぬ自分だけに対する優しさ」ではないかという指摘が導かれる。

    由香里の「私は後悔したいの!」という叫びを、家族2人も受け入れ幕切れ、と
    いう話でした。

    メッセージ性が相当強くて普通の劇団だったら良作だな、と思う反面、これ、
    もっとふくらませて長編にした方がいいかもな、とも感じました。分かり易い分、
    イキウメじゃなくても良かった気がしました。

    以上の3作、どれも長編に改作できそうな感じだったので、『獣の柱』みたいに
    設定と骨格部分だけ残して、大胆に変えちゃうこと希望です。

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    2018/05/26 07:10

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