誰も寝てはならぬ 公演情報 feblaboプロデュース「誰も寝てはならぬ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「『誰も寝てはならぬ』そんなオペラの一節の落書きがされた埃まみれの劇場跡で描かれる異色異端の楽屋モノ」という謳い文句…ミステリー・サスペンス仕立てにした多重構造の物語。
    舞台セットと芝居セリフに”ある意味合い”を持たせ、ラストに観客に問い掛ける観せ方は実に巧みであった。
    (上演時間1時間15分) 2018.4.29追記

    ネタバレBOX

    セットは、客席と同じようなパイプ椅子が雛壇状(客席に対して横4列×縦3列×2)に並んでいる。下手側壁にタイトルと同じ文字が落書きされている。

    物語は、薄暗い廃劇場内に好条件のアルバイトで集められた男女7人と勧誘した女性の計8名、彼・彼女らによる取引会話から始まる。目的は「演劇が絶滅した世界を復活させる実験を行う」というもの。集められたのは遺伝子学的に演劇に適したDNAを持つ人達であり、何が何でも実験を成功させたいらしい。演劇とはどんなものか、台本の読み合わせから始まる。その台本がオペラ「トゥーランドット」の一部分を演じるもの。稽古を通じて演劇の魅力を感じ始めるが、次の台本は更に厚み(頁数)が増すが、翌日その台本が…。

    公演は人間の本質を鋭く問う台詞「ありのまま映らない鏡」。この実験は演劇ワークショップという劇中劇という設定で、集まったのは現役役者ばかり。この実験を企てた人物は集められた中にいる。ラスト、その人物は観客に向かって「あたな以外は役者」という言う。セットは、客席と合わせ鏡のように配置されている。役者と観客は人間であるが、同じではない。人はそれぞれ違い本(音)質は分からず、信じられるのは自分だけ。人は役者に限らず見えない仮面を被り何らかの役を演じているのかもしれない。その意味で観客は他人-役名のない演技者として位置付けて実験に組み込まれていたのかもしれない。

    一見、非現実の世界観のように思わせ、唐突に現実の世界に引き戻す。それまでの幻想・妄想というあやふやな雰囲気が一変し具体性を帯びる。公演全体にわたってどう展開するのか固唾を飲んで見守る、そんな緊張感に包まれていた。ひとつ間違えれば、白け通俗的になるかもしれない不明確な描写を極めて”劇的”に観せていた。
    薄暗い廃劇場内、何もない空間に「誰も寝てはならぬ」という壁の落書き。空虚漂う中、流れるオペラ音楽は心地良く心に響く。しっかりとした構成とシンプルであるが情景・場景をイメージさせる演出、舞台装置は素晴らしかった。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/04/15 10:40

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