Yellow Fever 公演情報 劇団俳小「Yellow Fever」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     英語のタイトルからは黄熱病という病がその最初の意味となるのであろうが、自分がこのタイトルから最初に想像したのはpéril jauneである。

    ネタバレBOX

    黄禍と普通訳される言葉である。主として欧米で使われた言葉であり、東洋系の人々の人口増加率が欧米人よりも高いとして、自分達の領土や仕事が東洋系に乗っ取られると危惧する概念である。無論差別用語、黄色人種排斥論である。で、作品を拝見して自分の直観通りであったことを確認した。
     舞台は、かつて日本人集落があったカナダのある都市。主人公のサムは、私立探偵。腕っこきだが、反権力・反権威の一匹狼。2世である。事件の時代設定は1970年代初頭。
    (だが移民の苦労や、サムのキャラクターをより深く理解させる為、物語の中で作用する東洋系への差別を具体的な事例を挙げて観客に理解させる為の手法として、アメリカのみならずカナダでも太平洋戦争が始まると日本系は、スパイ行為を働くのではないかとの懸念からカナダの太平洋側を強制的に追い出され、山奥の収容所に入れられた話が枕として用いられているのである。敗戦後も4年間元の棲家に戻ることが認められず、それが認められた時には、既に総ての財産が競売に掛けられ白人の手に亘っていた。その関係で元住民であった日系人の多くが旧棲家を去った。)
    結果物語の時代に、この地に住んで居る旧住民は少ない。こんな事情を肌身で知っているサムだからこそ、草莽という立場でこの地に住み続け、殆ど儲からない難事件を解決し続けることで、信用を得、住民や依頼者からの人気は抜群であった。
     さて、問題の事件である。この地域の名家の娘が桜祭りのコンテストで優勝したが、その直後失踪してしまった。誘拐されたようだが、手掛かりは殆ど皆無である。彼女の父から捜査依頼が入った。丁度そんな時、サムへの脅迫状が、気に入っている帽子から見付かった。文言はシェイクスピアからの引用である。
     サムは、取材に来た新米新聞記者・ナンシー、相棒同然で優秀な弁護士・チャンらと共闘して事件の解明に挑むが、péril jauneをベースとした白人の差別意識が、彼らの行く手を阻む。サスペンス要素を含むので後は観てのお楽しみ。

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    2018/03/23 01:32

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