廃墟 公演情報 ハツビロコウ「廃墟」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     原作は三好 十郎である。

    ネタバレBOX

    原作を読んでいないので、今作の上演台本を書き、演出をした松本 光生さんの台本とどこがどう違うのか現時点では知らない。描かれている時代は1945年の敗戦直後から46年頃までとみた。で、その頃のインテリが感じていたこと、観ていた日本と現実に今我々が暮らしている日本が本質的に一切変わっていないことに愕然とさせられたのである。
    原作に於いてもこのような形だったかどうかは、今時点で自分は知らないが、原作でそう描かれていたのであれば、三好の本質を見抜く目を褒めるべきであろうし、今回の脚本でそのようにしたのであれば松本氏を褒めるべきであろう。何れにせよ、開幕から終演迄一切たるんだ瞬間の無い緊迫の舞台であった。
     それだけに日本のインテリの在り様と、革命を起こせない国民性、その背後に蠢く人間概念の予めの崩壊、その結果の日和見主義。絶対という価値観の欠如下でのセンチメンタリズム蔓延とそれを根拠としたポピュリズム等々の問題が、自分の問題として立ち現れて来、深く内省を強いる作品になっている。
     タイトルの廃墟は、無論、表層では大空襲で焼け野が原になった都市であり、そこで明日をも知れぬ生活を強いられる人々の逼迫である。殊に進駐軍に春を鬻がねばならぬ日本女性の姿である。(梅毒などによって体も蝕まれ、正しく「廃墟」となる場合もあったことは容易に推測できる)だが、何よりも重く、昏い廃墟は、我々日本人の心、否、魂そのものが廃墟と化し、その心と魂で築かれた戦後の繁栄そのものが、実は何ら本質的な意味を持たぬ、即ち我らの魂生き写しの廃墟であったことではないだろうか?

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    2018/03/15 00:42

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