遭難、 公演情報 成城大学 演劇部「遭難、」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    だが、職員室内でこの証拠隠滅問題が同僚の石原によって問題化されると、

    ネタバレBOX

    彼女は自身が矢張り飛び降りをした経験とトラウマを負った話をする。而もそれは、当時彼女が信頼していた教師の一言が原因だったと述べるのだ。だが、その一言とは、客観的にみて当然の論理的帰結を述べたものであった。何故なら彼女が飛び降りたのは2階からでそれも植え込みに飛び降りたのだから、死ぬつもりなど本当は無かったと判断されて当然だった。だが、彼女は恰もトラウマが先で、それを自らの歪みの根拠と看做すことで己の身勝手を正当化していた訳だ。この点も石原に指摘され逃げ場を失っている。この辺りから、里見は、徐々にその狂的な性格と破綻の兆候を激化してゆく。
    一方、自殺未遂を図った生徒からの相談の手紙を無視したという秘密が外部に漏れるのではないかと恐れた彼女は自己保全の為、この事実を知った教師全員の弱みを握り情報漏れを防ごうとありとあらゆる手を用い口封じを図る。その方法とは、ビデオによる職員室監視、同僚教師の携帯端末の盗み見・許可なし使用、女子トイレ盗撮を不破の企みとして濡れ衣をきせる、スキャンダルなどの要素が無い石原には共犯を強要する等々である。
     だが、里見の正体を見破った同僚たちも黙ってはいない。生徒が自殺未遂に走った責任は、一体誰にあるのか? 他人のことを思いやる人間らしさを、里見は持っているのか? 等々の追及が始まるが、他人の気持ちをホントに理解できるのか? と里見は反論するもまたしても狂言自殺を演じる必要がある所まで追い詰められた里見VS他の総ての登場人物らの論議は決着を見ないまま、人間個々人の持つエゴが、実に活き活きと而も人間の負の側面のリアルをまざまざと示して展開する。脚本も良く練られたものを選んでおり、演技も皆さん力一杯、全力を出し切るものであった。殊に皆を振り回す里見役を演じた女優さんの表現力豊かな演技を自分はとても気に入った。無論、不破と不倫関係に陥ることになった仁科を演じた女優さんも男と女の関係になる前と後とで、所作を変えることによって女性心理の綾を巧みに表現していたし、一見、引っ込み思案で優柔不断に見える石原が、実は最も芯の強い論理的な思考の持ち主であることを表現した女優さん、また心優しく受け身であるが故に里見が相談の手紙を受け取ったことが教師仲間全員にバレた後、彼女を庇って仁科に謝り続けた江國役の女優さんも、里見の実体が暴かれた後とその前の彼女を尊敬していた間の差を江國が仁科から受けた辱めと同じ形で里見に返すアイロニカルなシナリオの目指すものをキチンと具現化していた。女性全員が4年生の中、不破を演じた男性俳優だけが1年生。だが、彼も良い演技であった。演劇関係に今後関わるにせよ社会人として就職するにせよ、或いは別の道に進むにせよ皆さんのこれからが楽しみだ。
    また、開演前には、校庭で遊ぶ生徒たちの声が流され、学校の雰囲気が醸し出されている点もグーだし、里見が、意識が回復した生徒に向かって己のトラウマを解消すべく放った一言が、授業の鐘の音に紛れて聞き取れないのも、原作通りか演出か分からないがグーである。

    1

    2018/03/04 02:34

    0

    0

  •  こちらも少し追記です。
           ハンダラ

    2018/03/04 13:59

このページのQRコードです。

拡大