『戦争戯曲集・三部作』 公演情報 劇場創造アカデミー「『戦争戯曲集・三部作』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     現代イギリスを代表する劇作家の一人、エドワード・ボンドの戦争戯曲三部作の第一部、第二部である。(花5つ☆)

    ネタバレBOX

    かつて日の沈まぬ国と謳われ世界の覇権を握っていたイギリスは、多くのエリートが母国を見限り去った後も、それなりの国力を維持し、現在も国連の常任理事国5か国の一つを占めている。かつて支配したエリアへの三枚舌外交などで未だに解決不能な問題の種を播き散らし、キチンとその尻拭いをしていない国であるから、国内でテロを起こされ、テロ対策を名目として様々な軍事行動を起こしたり、軍需産業を維持しているという実態もあって、日本で暮らす我々より遥かに戦争に対する認識がリアルである点に、今今作を日本で上演することの大きな意味があろう。
     戦争を始めるのは比較的容易い。終息させることに比べれば遥かに容易いのであるが、この程度のことも、今の日本人の多くが理解していない。だからネトウヨのような好い加減が流通するのである。
     今回の上演は、卒制という位置づけである。役者陣は皆若いが基礎をしっかり学び、実にいい仕事をしている。身体の用い方は無論のこと、三作全編を通じて一人だけ滑舌(発音が不明瞭・生得的なものでこれを直すとすればそれこそ命懸け)な人が居たがそれ以外の人は皆科白の通りも良く素晴らしい演技であった。
     舞台美術はシンプルだが、効率的・効果的であり、殊に正面スクリーン下に描かれた空景は、照明とのコラボで実に効果的に用いられていた。
     演出もエッジの効いた素晴らしい出来であり、核戦争後の荒廃と僅かに生き残った人々の心理を見事に浮き上がらせている。無論、原作の素晴らしさ、訳・脚本の良さは前提である。

    0

    2018/02/26 00:31

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大