ここから 公演情報 ソラカメ「ここから」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     舞台が設定されているのは、どことも知れぬ森の中の空き地。戦火から逃れ右往左往する少女達、空には爆音が響き、地には銃声が木霊する。だが逃げる彼女たちには肝心な情報が無い。

    ネタバレBOX

    敵・味方の区別もつかず、一体誰に追われているのかも知れない。爆音が去って静かになり漸く少し寛げそうな場所に辿り着いて一息ついていると銃声がする。やって来たのは、これまた肝心な情報を持たず、拾ったマシンガンを手に暴発させてしまい動顛した挙句、暴発した際、先の女性たちに怪我は無いか? と心配している若い女だった。彼女達同士がどうやら敵ではないという認識を持って暫く経つと又も飛行機の爆音。隠れる場所を探しどうやら隠れられそうな場所に潜り込んだ。
    この辺り、どうやら不法廃棄物の捨て場となっている場所なのだが、ここにやってくるJK達にとっては、子供の頃の秘密基地を思い出させる何故か心休まる場所でもあった。高校をふけてやってくるJKや既に社会には出ているものの、失職したり一時はヒット曲を出したが一発屋でその後はニート生活を送る者、正体の分からぬ敵に怯えて逃げ出した者達同士が、この場所で遭遇した。恰も異なった時空が、偶然その扉を開いて邂逅したかのように。相変わらず正確な情報は無いまま若い女性達は、とても真っ当で健気な判断を下す。即ちそれでもここから始めよう、と。
    然しながら、彼女たちの悲劇は、その普通で健気で真っ当な判断にも拘わらず、肝心な情報を欠いていることである。その肝心な情報とは、自分達の位置である。無論、GPSによる単純な位置情報だけではない。世界政治、軍事、経済、科学技術、社会、歴史、民俗、宗教、思考傾向、情報分析等々をトータライズした際に置かれる己の世界内位置を考察するに必要な情報である。どうでも良い情報は溢れかえっているのが実情だが、フェイクを含め、そんな屑情報は一切必要ない、と判断できるだけのキチンとした情報が欠けているのだ。そして先ず知るべきは隠し、偽情報を流しているのは、支配政党であり、それに媚びる官僚、最高裁、御用学者、マス塵、経済界等々為政者サイドであり、強行採決、閣議決定等を通じて法的武装をした彼らの流すプロパガンダであるという事実だ。
    彼女達が健気であるだけに、気の毒でならないのは、単に作品化された今作の内容が訴えてくるものから受ける印象だけではなく、そこに込められた心を汲み取ればこそである。君たちに必要な情報をキチンと探し、自分達のものにしたまえ。
    参考までに、今日本で起こっていることの根本が書かれた本を1冊紹介しておく。「オキナワ島嶼戦争」小西 誠著 社会批評社
    ところで、何故女性にこの本を薦めるか? であるが、女性同士の話の多くに恋が絡み、それは自然で大切なことなのだが、恋した相手が戦で死んだり、障害を負ったりするばかりではなく、自分の産んだ子が戦争に巻き込まれることも在り得る。そうした状況を創らぬ為には、先ず現実を知ることから始めねばならないからである。戦争など本気で望む奴は外道だろう。先ずは一人一人が、本気で厭戦を肝に据えねばなるまい。その為に力を発揮できるのが女性ではないか、自分はそう思っている。


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    2018/01/26 15:16

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