時代絵巻AsH 其ノ拾壱『朱天〜しゅてん〜』 公演情報 時代絵巻 AsH「時代絵巻AsH 其ノ拾壱『朱天〜しゅてん〜』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     AsHの作品は、時代考証や伝説を背景として脚本が書かれて居る為、そのような背景が無い場合には、作劇の常道を犠牲にしなければならない場合が出てくる。(追記後送)

    ネタバレBOX

    作家も悩む所だろうが、今作では、この点が作劇上の弱点となった。
    将門の遺児、鬼道丸が足柄山で仲間を守る為に討死した後、その子は、蝦夷の庇護の下、大枝山に逃れた。名を鬼王丸と言う。鬼王丸は、京の都に度々下り、源 満仲の嫡男、頼光と友の契りを交す。
    一方、朝廷は藤原北家が勢力を広げ、摂関政治で頂点に立ったのは兼家。将門の乱以降、残党と遺児その血脈、そして彼らを匿う蝦夷を絶とうと機を伺っていた。その目的完遂の為、何の罪咎も無い彼らを、都の腐敗しきった政治の目隠しとして利用し、人間ならざる鬼として敵視、その上自分達の陰謀や欲を実現した際に罪を被せる為、普段から流言飛語を用いて彼らを悪役に仕立て上げ民衆の目をそらし続けていた。
    こんな貴族から命令を受け、従わざるを得なかった武士の統領達も、当然のこと乍ら、この事実に気付き心を痛めていたのだが、貴族の政治を覆すだけの力を未だ持ち合わせて居なかった彼らには、取り敢えず、藤原北家に従う他の道は選べなかった。
    ところで、命令を下し総ての権力を手に入れ天皇の外戚として実権を恣にする兼家が、権力者の孤独について語ったり、足柄山で鬼道丸と蝦夷の長を討った満仲が、自らの子と同年代の子供を哀れに思い、守り役の蝦夷の民共々落ち延びさせたり、その子頼光が、鬼王丸の友となりながら、また友情と武士の統領としての義に引き裂かれながら鬼王丸・蝦夷討伐軍の統領として出陣、役目を果たすに至る経緯が敵味方の敵愾心に水を差し、ドラマツルギーの対立を弱めてしまう要素を克明に描いたことが芝居を弱くしてしまった。

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    2017/12/17 14:34

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